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2017年8月 7日 (月)

トヨタが発表したとされる重大ニュース

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 2015年に発覚したVWの排ガス不正疑惑だが、同様の疑惑はVWにとどまらず、仏ルノー、仏グループPSA、米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車、スズキなど、国を超えて広がっている。ディーゼル車の終焉は近い。

  ヨーロッパだけではなく、アジアの主要な都市部の大気汚染は深刻であり、ディーゼル車の命運は尽きたのではないだろうか。そこに、PHVという伏兵が現れた。時代はエンジン車から離れ、電動車へと向かっている。

この記事は日本のある有名自動車評論家が書いたものです。その方はVW排ガス不正問題が起こるまでは「これからはクリーンディーゼルの時代だ」ドイツ車が素晴らしい、と散々言って来ました。

それが排ガス不正問題に伴う、今回のEU諸国の方針大チェンジに呼応するように、恥ずかしげもなくディーゼルは限界だと言い、欧州はEVやPHV技術で日本よりも進んでいると言うのですから開いた口が塞がりません。(笑)

何を以てそういう意味不明の事を言うのでしょうか。おまけに排ガス不正グループにニッサン(恐らく三菱の事?)やスズキを道連れにするのですから悪質です。こちらも開いた口が塞がりません。

三菱の場合は誤摩化したいという意図があったのかも知れませんが、国内という事と抵抗データの10%程度の改竄ではVWなどと悪質さで比較になりません。さらにスズキの場合は未だ黒と決まった訳でもないのです。

悪意の全くない排ガス制御ソフト使用でも、一般走行では誤差は出ます。それは全ての走行条件を網羅出来ない検査の性格上ある程度やむを得ないものなのです。そんな事も知らない筈はないのですが、なぜかこの方、常に欧州の肩を持つ発言をします。限りなく怪しいと言わざるを得ません。(笑)

さらに上の記事では「ディーゼルの命運がつきて、そこにPHVという伏兵が現れた」と述べています。これまたおかしな事を言うものです。PHVはとっくの昔から日本メーカーが作っています。伏兵でもなんでもなくEVとハイブリッドカーの間隙を埋めるバリエーションに過ぎません。その存在の必然は明白です。

こういう人に騙されるマスコミは間抜けなだけですが、メーカーも大人し過ぎるのではないでしょうか。日本車下げ記事に対しては堂々と反論すべきです。評論家だけに後が怖いとでも思っているとすれば情けない限りです。

それとも日本のメーカーもすねに傷でもあるのでしょうか。(笑)昔評論家を豪華接待していた話は聞いた事があります。カーオブザイヤーも純粋に車の善し悪しで選んでいたかと言えば・・・いずれにしても、この手の評論家、誰も反論しないので今も大手を振ってドイツ車上げ、日本車下げ記事を書いているようです。

実際には、
「ドイツ勢はトヨタに電動化で遅れた事を深く反省している」(独部品大手の開発担当者)皮肉にもディーゼル車は元々、トヨタのプリウスに燃費効率で遅れを取ったドイツ自動車業界の秘策だった。(東洋経済オンライン)

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(リチウムイオン電池の有機溶媒を固体材料に置き換えた全固体電池、仕組みがよく分かりませんが、ノーベル賞ものの発明ではないだろうか)

さて気を取り直して、今日はトヨタのEVに関する重大発表を取り上げます。新聞報道によると、トヨタは2019年に中国で現行「C-HR」をベースにした全固体リチウムイオン電池搭載のEVの量産化を予定しており、さらに2020年の東京五輪に向け、新たに同社初となるEV専用車を開発、2022年の量産を目指していると言うではありませんか。

その電池、安価で充電時間が数分で済み、エネルギー密度が2倍、出力特性が3倍といいますから、かなり画期的です。さらに、

・大気圧下での充放電が可能

・液漏れの心配が無く安全性が高い

・発熱による可燃性ガスの発生が無い

・極薄0.3mmの電解質を積層して大容量化

・-40~100℃の広い温度環境下で利用可能

・7年後も90%以上容量維持するなど長寿命

といい事尽くめなのですが、本当であればトヨタがまたHVやFCVに続いてEVの分野でもリーダーシップをとる事になります。マツダは絶妙のタイミングでトヨタと資本提携しました。従来のリチウムイオン電池に大投資をしている韓国や中国の電池メーカーの青ざめる顔が見えるようです。(笑)

しかし、だからと言って全固体電池搭載EVが、従来のHVやPHVに取って代わる事が出来るかと言えば、現時点の情報の範囲では懐疑的と言わざるを得ません。リーフクラス以下のコミューター的EVにとっては朗報ですが、それ以上の高価格帯クラスでは商品力として完成の域に達したHVに及ぶべくもないのです。エネルギー密度が2倍程度では一番肝心な航続走行距離は限られます。

もちろんグランドツアラーやスポーツカー用としてももの足りません。という事はむしろHVやPHVに搭載した方が商品力が上がり、よりそれらの完成形に近づくと言えるのではないでしょうか。

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(プリウスPHV EV走行を前モデルの倍以上としたが、意見が分かれるところだ)

例えばトヨタの現行プリウスPHVが120キロものリチウムイオン電池を搭載していますが、EV走行距離を同じ68キロ程度とすれば単純計算で半分以下の重量になります。

今の車両重量が1530kgですから1470kgまで下がる訳です。HVプリウスとの比較でプラス110キロ、このクラスのガソリン車との比較でも遜色ないものになります。問題は価格ですが、安価という事は言っていますので、同クラス比較であればプリウスPHV 1.8A の380万円より下がる事は間違いないと思われます。

その価格で航続距離1000キロ、さらに出力特性3倍というパワーも期待出来るとすれば、商品力は圧倒的となる可能性があります。尤も、個人的にはデザインは嫌いですが、(笑)もう少し普通の車にしてもらえば、私のような保守的熟年層にも受けるのではないでしょうか。

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(なぜか人気爆発のテスラ・モデル3 こちらも好きになれないスタイリングを採用している)

因に25万台の予約を取って人気が先行しているテスラのモデル3と現行プリウスPHV を比較してみます。サイズ的にはモデル3の全長4694に対しプリウスPHVは4645なのでほぼ同じ大きさです。

全幅は90ミリもテスラが大きいようですが、逆に全高はプリウスが37ミリ上回ります。参考までに少し小さい車ですが、航続距離を伸ばした新型リーフも加えました。

                         価格   航続距離   車両重量
プリウスPHV 1.8A     380万円    960キロ    1530kg
モデル3スタンダード  385万円  354キロ  1611kg
新型リーフ30kw X    365万円  280キロ  1460kg

価格は1ドル110円として計算します。航続距離に関してはプリウスの場合68キロEV走行後40リッター(タンクは43リッター)のガソリンを消費してのHV走行(JC08 の60%の実燃費として)のトータルです。

テスラとリーフの場合はカタログ値なので、電装品の使い方次第で半分程度になる事はあっても、これ以上という事は考えられません。プリウスが全固定電池搭載なら軽量化分燃費向上が望めるのでさらに差がつきます。

さあ、環境負荷が同程度の3車、あなたならどれを選びますか? 私は遠出する事が多いので迷わずプリウスを選びます。デザインがどうあれ、電欠は切実な問題なのです。

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自動車」カテゴリの記事

コメント

その自動車評論家は、毎年日本経済が破綻するという本を書いてる髪が緑のおばさんと同人種ですね。でもそういう人が言論界で生き続けているというのが不思議です。海外ではそういう人は失脚すると聞いています。ちなみに私が知っている自動車評論家は徳大事くらいですが、まだ元気にしているのでしょうか。

今回の自動車の話もおもしろかったです。一昔前より日本の競争力(技術力)が落ちたように言われていますが、そうでもなさそうで安心します。もし落ちた部分があるとすれば、それはしぶちんな財務省の責任だと思います。こういう話は田中様のような専門家に解説してもらうのが一番です。田中様のように自動車造りに直接かかわっていない、いわゆる自動車評論家にはわからないことなのでしょうか。

投稿: | 2017年8月 7日 (月) 23時43分

>自動車評論家は徳大寺有恒くらいですが、まだ元気にしているのでしょうか。

もう亡くなられています。亡くなった方の事をあれこれ言いたくありませんが、有名になってそれなりの地位を確立された頃、ニッサンのコマーシャルに出て来て仰天した記憶があります。

こういうリーダー的な人は範を示すべきなのに、逆の事をやってしまいました。これでクライアントの車を正しく評価する事は出来ません。したとしても色眼鏡で見られます。

今の評論家のモラルのなさに繋がっているのかもしれません。

>田中様のように自動車造りに直接かかわっていない、いわゆる自動車評論家にはわからないことなのでしょうか。

自動車評論家はピンキリです。私などより分かっている人もいると思いますが、書けない理由があるのかもしれませんね。

投稿: 田中 徹 | 2017年8月 8日 (火) 09時48分

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