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2017年9月15日 (金)

EV化によって再構築される日本包囲網(前編)

 

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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【まとめ】
・仏、2040年までにガソリン車、ディーゼル車販売禁止。
・中国、インドもEVシフト鮮明に。
・日本の自動車メーカーはこの潮流に乗ることができるか岐路に差し掛かっている。

フランスではユロ・エコロジー相により2040年までに国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針が示されました。

フランスに続いて英国もガソリン車の販売禁止を打ち出し、ヨーロッパのEV(電気自動車)シフトが急速に進み始めています。

Ulala(ライター・ブロガー)NEXT MEDIA

 このところ一時の自動運転騒ぎが嘘のように、猫もしゃくしもEV談義に明け暮れています。昨日のテレ東報道番組WBS でもフランクフルトモーターショーを取材してEV化の波が来ている、日本どうするってやっていました。EVのコンセプトカーを出しているだけなんですが。。ショーによく行かれる方はご存知でしょうが近年のモーターショーはどこもEVのコンセプトカーだらけです。(笑)

しかし日本のメディアや知識人は酷いもんです。中には日本が遅れている?のを政府の責任だと言う人まで出て来て、正にカオス状態と言えます。そんな大袈裟な話ではないと思うのですが、これも一時の熱病に過ぎないと気付くのに、どのくらいの時間を必要とするのでしょうか。

そもそも政府が介入するには知見がなさ過ぎます。未だ不確定な部分も多く、欧州のように断定するには時期尚早と言わざるを得ません。EV化によるインフラ整備へのコスト(特に電力)も冷静に見積る必要があります。

従ってこういう、パリ協定にどう対応するか、等も含め、曖昧模糊とした将来事案は大きな指針だけを示しテクニカルなところは民間に任せるのが賢明です。またそれしかありません。政府が音頭をとって成功した例があるでしょうか。

Edmc

[パリ協定をベースにした日本のCO2排出量と目標値(出所:日本エネルギー経済研究所)これによると1960年ころのレベルまでCO2排出量を減らさなければならず、非現実的だという声が大半だ]

もちろん段階的に排ガス規制を強化するのは環境問題として喫緊の課題だと言えるし反対する理由もありません。従って政府はそこだけを示せばいいのです。あとはメーカーがどう対応して行くかです。それには技術的な見通しが不可欠ですが、そこが確定しない今、トヨタなどの大メーカーとしても莫大な投資をする筈がありません。決して遅れているから動きが鈍い訳ではないのです。

いずれにしても今の段階で、完全なEV化を決めるのは危険すぎる賭けと言えます。途上国の中国やインドならいざ知らず、先進国の言うセリフとも思えません。という事は政治的色彩が濃いブラフかポジショントークかという事になります。責任を持った大人の見解でない事だけは確かです。

尤も、明確にEV化と言っているのは中国くらいでしょうか。あとは電動化と言っているので、分かりやすく言えばハイブリッド化なのです。拙ブログで何度も言っていますが、ハイブリッド化と言ってしまえば日本の軍門に下る気がして言えないだけでしょう。

そもそも今のEVがかろうじて存在を許されているのも、日本が開発した家電用のリチウムイオン電池があるからです。これのエネルギ-密度がニッケル水素電池などと比べて飛躍的に上がったのでEVの可能性が広がりました。

勿論ハイブリッドカーにしてもリチウムイオン電池を搭載する事によるメリットは同じで、燃費が段違いに向上します。そういう点で言えば現段階ではハイブリッドカーに一番適しているマテリアルかもしれません。

EVとしてはせいぜいコミューターレベルまでです。とても高級車に適したものではありません。なぜなら電池代が他の高級にするべき部品の予算を食ってしまうからです。その結果まともな走りをさせようとするとテスラ モデルS のような1000万円超のモンスターになってしまいます。

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(異次元の加速性能を実現した日本仕様のテスラ モデルS)

テスラ モデル S がなぜ高いのかと言えば、早さと航続距離を追究するあまりバカ高くなった電池代と、少量生産故の効率の悪さが主要因で、高級装備やクオリティに十分なお金をかけているからではないのです。いずれにしてもそんな車がドイツや欧州各国では高級車と見なされません。

そもそもアウトバーンで1時間も200キロ走行が出来ないような車は高級車として失格なのです。環境と性能を両立させ、価格もある程度に抑えるなら、その解は先日も言いましたようにハイブリッドしかない事は自明です。ところが、ドイツ人はあそこまでバカにしていたハイブリッドカーにするなんて口が裂けても言えないのです。(笑)

ところで肝心な電池の性能アップの見通しですが、トヨタが2022年以降に全固体電池搭載のEVを発売すると言っています。(但し、同社内でそのタイミングを否定する声もある)エネルギー密度は2倍で出力特性が3倍といいますから、かなりなものです。

これまでのように充電時間も長くなく、気温も気にしなくてよいと言いますから、何とかまともな商品になり得るところまで来ました。しかしながらエネルギー密度が2倍程度では、そのマージンを重量減に使えば航続距離は従来EVと殆ど変わりません。

航続距離を倍にするなら重量が変わらない事になり、既に重量と航続距離を両立させているハイブリッドカーには太刀打ち出来ないのです。私個人の考えとしては、基本的に電池を航続距離や動力性能のために積んでいる限り見通しが暗いという事です。

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        (E5系のパンタグラフ)

じゃあ、EVの未来はないかと言えばそんな事はありません。新幹線のように走行中に外部から電力供給を受ければ無限の航続距離が実現出来ます。重量軽減にも大きく貢献するでしょう。ただ、自動車の場合はパンタグラフという訳にはいかないので非接触供給になります。ジャンルは違いますが、iPhone も新型では非接触充電になるようです。

その場合、幹線道路などに電力供給インフラが必要になりますが、お金の問題を除けば実現不能な話ではないと思われます。そこまでいけば言うまでもなく100%近いEV化が実現出来るでしょう。新幹線のように時速200キロ以上での長時間巡航も夢ではないのです。それがいつになるかは誰も知りません。(笑)

さて、ここで恐ろしい話をしなければなりません。深刻な大気汚染というやむにやまれぬ事情からEV化に舵を大きく切った中国ですが、電力をどうするかという基本的問題が立ち塞がります。従来の石炭による発電ではEVを作れば作る程汚染はむしろ悪化するという報告があるくらいです。

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[中国では273基もの原発建設が計画され、沿岸部を中心に各地で建設ラッシュが起こっている(REUTERS/Aflo)]

その為に習近平国家主席は自ら音頭をとり原子力発電に大きく舵を切ろうとしているのです。英国から原発輸出契約を取りまとめた程ですから自信の程がうかがえます。2050年までに4億kW分の原発を建設する計画もあるようで、1基100万kWとして原発400基分ですから吃驚です。

現在、世界で運転中の原発すべてを足しても4億kWに満たないことを鑑みると中国がいかに原子力に注力しているかが分かります。ところがその技術たるや、お粗末の極みで、視察した日本の技術者は、現地技術者も作業内容もデタラメだと言っているのです。

その証拠に英国と契約した原発建設が上手くいきそうもないと、日本に泣きついて来ました。韓国と同じパターンじゃないですか。(笑)開いた口が塞がりません。出来ないくせに注文を取る?この体たらくで何百も原発を作られた日にゃ近隣国はたまったものではないのです。

恐らく途中で深刻な事故を起こしEVどころではなくなるのではないでしょうか。しかし日本は風下です。放置すればとばっちりを受けかねないので泣く泣く支援をする事になるかもしれません。つくづく困った国です。

この話は未だ続きます。

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コメント

今回のお話いつもながら興味深いです。田中様はデザイナーで技術者ではありませんが、技術的専門的な話はとくに興味深く読ませていただいています。前にも書きましたが、チャンネル桜にでも出て話してほしいです。多くの日本人に勇気を与えると思います。そのうち水島さんにでも話してみます。

投稿: 八丈島 | 2017年9月15日 (金) 20時19分

英国の原発、どうも日立が請け負うようです。下請けなのかどれだけの部分なのかはわかりませんが、また保証をどうするのか日本政府がするのか、そのあたりに問題があるらしいですが、とにかく日立の人がそう言っていたそうです。

投稿: 八丈島 | 2017年9月15日 (金) 21時18分

日立の人・・・多分世界中からでは最良の人材がいらっしゃるでしょう。英国、米国、C国、K国、R国よりは遥かに上ですよ。これで駄目なら人類の未来はありません。

投稿: AZ生 | 2017年9月16日 (土) 14時13分

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