苦肉の策でしかない解散の大義
---日米 FTA/消費増税 /カジノ解禁に反対します ---
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安倍晋三首相は2019年10月の8%から10%への消費増税の増収分のうち、1兆円超を教育などの充実策に振り向ける検討に入った。幼児教育の無償化などの財源を大胆に確保し、教育環境を整える狙いだ。財政再建にまわる税収が減るため、20年度としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標の達成も先送りする意向だ。25日にも表明する。財政規律の緩みとの批判は避けられず、衆院選の争点となりそうだ。(日本経済新聞 電子版)
野党や、それに同調する左翼メディアは今回の解散について大義がないと、こき下ろしていますが、愚かな彼らが焦るのは当然です。政権叩きしか頭にない殆どの野党は、とても選挙が戦える状態ではないからです。
そういうタイミングを狙うのは政権与党としては当然と言えます。特に支持率低下でレイムダック状態一歩手前まで行った安倍さんとしては、ロケットマンのお陰もあり、支持率が回復基調にある今、その権利を行使しない手はありません。さぞや、言いがかりとしか言い様がない「もりかけ」で虐められた憎らしい野党を痛めつけたい事でしょう。(笑)
問題は野党も言うように、やはり大儀です。本当に大義がなければ大敗だってしかねません。そこで私は消費増税再延期か?と期待したのですが、少し違うようです。本音ではそこに持っていきたいのでしょうが、散々今度こそ延期しないと言って来た手前、そうもいかないのかもしれません。
しかし、そのまま増税するのもしゃくに触ると見えて、変な理屈をこね出しました。増税分は財政健全化には使わないと言うのです。当然プライマリーバランスを20年までに黒字化するという目標は達成出来ません。
私に言わせれば、そこだけがせめてもの救いです。緊縮財政で上手くいった国などないからです。しかも2%のインフレターゲットを掲げながらの基礎的財政収支黒字化は矛盾しています。何度も言っているので詳しくは書きませんが愚策の一言です。財務省の圧力に屈する政権では存在価値がありません。
そこで深読みかもしれませんが、安倍さんは財政健全化先延ばしの常態化を狙っているのではないでしょうか。その上で色々口実を設けては増税分以上の補正予算を組むという、ずる賢い事を考えているのかもしれません。つまり予算外の国債の発行です。増税やむなしなら増税分を帳消しにするこのやり方しかありません。
日銀が438兆円も長期国債メインに保有し、なお金融緩和を継続する今、手薄になっている債券市場に国債を追加投入するのは銀行にとっては有り難い事でもあります。そのためかどうか日銀は審議委員の二人を交替させました。
もちろん政権の息のかかった新審議委員はリフレ派です。分かり易い構図ではないでしょうか。積極財政を支援する買いオペの継続は既定路線のようです。日銀当座預金残高が362兆円もあり、マネタリーベースが米より多い世界一の462兆円もある事が適切と言えるかどうかはともかく、実質の金利負担を減らす事が今の日本に悪い訳はありません。
ともあれ、IMFも認める世界一の財政健全国日本に緊縮財政は、これ以上ない愚策です。廻りに優秀なブレーンが五万といる安倍さんが、そんな基本的な事を知らない訳がありません。騙されている振りをしているだけではないでしょうか。
それはいいのですが、腑に落ちない事があります。安倍さんはまた「働き方改革」を言い出したのです。これってブラック企業化の勧めと、とれなくもありません。この人手不足が顕在化している昨今、残業をするなと言えばブラック化するしかありません。
大和総研の試算では、この政策によってGDPが8.5兆円も減ると見積もっています。つまり残業が減る事は労働者の収入が減る事を意味し、三面等価の原則から言っても生産、支出も同額減るのです。
企業の内部留保が400兆円を超えた今としては全く頓珍漢な政策と言えます。グローバル化の弊害で、その内の200兆円以上が対外投資に向かうのはある程度やむを得ないとしても、労働分配率が低下している国内に、もっと使わせる手はないものでしょうか。
国民に消費を促さなければいけないと言う前に、所得を増やさなければどうにもならない事に気付くべきです。一般消費者の消費性向は高止まりの状態です。マジョリティである中産階級の所得を増やすこと、つまり使えるマネーストックを増やす事が全ての解決に繋がります。
その為にすべき事は、コンプライアンスの厳格化でありブラック撲滅の筈です。時々おかしな事を言い出すので、こと経済に関しては信頼感が薄いのですが、一体誰の指示に従っているのでしょうか?
後書き
21日の日銀金融政策決定会合で、新任の片岡委員が現状政策の維持に反対票を投じたらしいです。これは意外でした。ただ、その理由が「資本・労働市場に過大な供給余力が残存しているため、現在のイールドカーブのもとでの金融緩和効果は、2019年度ごろに2%の物価上昇率を達成するには不十分である」というものなので、リフレそのものに反対している訳ではなさそうです。
もっと効果的な手段を打て、という事なのでしょうか。これは頼もしい人が現れたものです。と言っても8対1なので、すぐにどうこうなるものでもありません。もう一人の新任、鈴木委員は賛成票を投じたらしいです。
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コメント
さる筋、と言ってもどの程度信用できるものかはわかりませんが、それによれば東京オリンピックまでに10パーセント、その後15パーセントにあげる予定でコンセンサスができているのだそうです。
財務省に逆らうことはできないのでしょうか。安倍さんが2度消費税引き上げを財務省に逆らって阻止したのは、前代未聞のことのようですが。
大東亜戦争の失敗も軍部の官僚主義の災い、今も旧大蔵省の官僚主義が日本を滅ぼしかねません。
投稿: 八丈島 | 2017年9月22日 (金) 00時59分
私も八丈島さんと同感です。
今の日本が消費税5%に戻すと、どんなに日本国民と経済がイキイキするか想像できます。
明日から25日まで出張です。
投稿: ナベ | 2017年9月22日 (金) 20時49分
消費税5%に戻す・・・又はこれに匹敵する方策。田中徹さん・八丈島さん・ナベさんが正しいと思います、頑張れ日本・頑張る日本。
投稿: AZ生 | 2017年9月23日 (土) 02時56分