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2017年12月13日 (水)

国民に浸透する財政破綻論

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 [東京 13日 ロイター] - 東芝は13日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡り対立していた米ウエスタンデジタル(WD)と和解することで合意したと発表した。両社は仲裁申し立てや訴訟をすべて取り下げ、東芝メモリが現在進めている四日市工場(三重県)第6製造棟への投資を共同で実施する。メモリー事業売却の障害となっていたWDとの係争が解決することで、東芝の再建計画は大きく前進する。

まずは一件落着というところですが、後はいかにしてメモリー事業の売却を避けるかです。東芝は増資と好決算(大半はメモリー事業)によって売却の緊急性がなくなったという認識のようです。それなら売らないのが一番に決まっています。この場合大地鳴動して鼠一匹でも誰も文句は言いません。日本人なら、と言う注釈は付きますが。。

さて、また長らく間が空いてしまいました。珍しく公私ともに忙しく、そんな気にもなれなかったのですが、やっと一段落しましたので再開します。今日はマクロ経済の話です。と言うのは先日WBSを観ていたところ、とても看過出来ないマクロ経済関連ニュースを目にしたからです。

有名なお医者?の経営者が出ていて新しい病院を紹介していました。それが超豪華で温泉まで付いています。これでは今の国民皆保険システムではペイが難しいのでは?と思って観ていたところ、その経営者が妙な事を言い始めたのです。

今の皆保険システムは近い将来破綻するので、その時のために競争力のある病院を提供して行くというのです???意味がさっぱり分かりません。超豪華にする事は悪い事ではないのですが、その余計な負担を保険の効かない時代に患者に押しつけるというのでは本末転倒です。一部の金持ちにおもねて何が未来志向でしょうか。

さらに今のシステムが崩壊すると断言する大胆さには呆れてものが言えません。どういう根拠で言っているのでしょうか?恐らくありもしない財政破綻論に乗せられているのだと思われますが、軽薄の極みです。マクロ経済を理解しない事は、こういうとんでもない経営者を作ってしまいます。

彼の理屈では、今後増々年寄りが増えて若者が減る、つまり就労者一人当たりの負担が莫大なものになるので持続可能でない、近い内にシステム自体が成り立たなくなる筈だ、とでも言いたいのでしょう。確かにこの人のようにマスコミ等のプロパガンダを信じ込んでいる人は多いのかも知れません。

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しかし、そう思っている人が多いという事は、そういう方向に向かうという事なので、この人が言う事は結果的に正しいという事にもなり得るのです。何と言う事でしょうか。世界で一番その可能性の低い国の人が騙されているなんて、嗚呼嘆かわしい。(笑)

ともあれ、今一時的に人口ピラミッドが歪になっている事は確かです。後30年くらいは続くのかもしれません。しかしその後はそこまでの歪さは消えていくので正常な時代に向けてのアプローチが必要になるのです。短期的に見てもの事を大きく変える事は賢明ではありません。例え一時的に赤字が増えたとしても、そこで浮き足立ってはいけないのです。少なくとも100年の計が必要です。

それにそもそも皆保険は破綻しません。その根拠を述べます。今日本のGDPは540兆円くらいあって、微々たるものですが実質はもちろん名目でも成長しています。生産年齢人口がピーク時との比較で900万人も減っているにも関わらずです。そこは注目しなければなりません。

それは労働者一人当たりの付加価値創出力が上がっている事を意味します。つまり生産性が向上しているのです。生産年齢人口一人当たりで見れば年に平均で1.5%も実質成長しているのですから心強い限りです。このままいけば2050年には実質GDPで585兆円になります。インフレになればその分上乗せですからいかにインフレが必要かという事が分かります。

それはともかく、それらが意味する事は企業は生産性向上に努力を惜しまないという事です。例えばAIを導入すれば失業者が増えるなんて言う事くらい、今の日本にとってバカバカしい事はありません。自然に生産年齢人口が減るのですからその分は生産性向上で補うしかないのです。

AI導入等の生産性向上によって余った労働力は生産性の低い労働集約型の産業に移動するようになり産業のバランスもよくなります。つまり海外から労働力を入れる必要がなくなるのです。内需拡大とはある意味そういう事なのですが、それを理解している政治家は殆どいないと言わざるを得ません。

生産性の高い産業が労働力などの余剰資源を外需獲得に振り向ければ内需がおろそかになり人手不足も深刻になります。幸い現地生産が進んだのでその心配はあまりなさそうです。

それらを裏付けるように最近国内への設備投資が増えつつあります。17年は対前年比で17%増と言いますからびっくりです。やっと正常な流れに戻ったのかもしれません。ここが重要ですが、GDPとマネーストックには密接な関係があります。マネーストックが増えない限りGDPは増えません。

最近の傾向で言えば、マネーストックが現状維持ならGDPは微減します。今のように2~3%の伸びでやっと名目GDPも1%前後の微増なのです。これは国全体の借り入れ残高が返済を上回って行っている事を意味します。設備投資は借り入れを増やすから重要なのであって、借金を悪の権化のように言ってはいけないのです。(笑)

当たり前の話ですが、誰かが借金をしなければ資産も増えません。このように借り入れが返済を常に上回ってこそ経済成長が望めるので、生産性向上のための設備投資はいくらやってもいいのです。まさか今のご時世、量を取りに行く設備投資は殆どないと思われるので、今後期待が持てるという訳です。

このように民間が借金(借入残高)を増やさない時は政府が増やさなければ経済が行き詰まるので、政府負債が増えて来ましたが、民間が増やし始めると政府負債が減る流れになります。いずれにしても借入残が増えて行く限り、原則としてどの分野に置いても破綻はありません。

考えてもみて下さい。人口は減っていきますが、GDPの増加は民間の設備投資増によって約束されているのです。なぜならどこの企業も売り上げを減らしたくないからです。社員数が減っても売り上げを減らさないため、つまり高付加価値化への設備投資が続くなら100年安泰です。

その設備投資に見合うAIやロボット技術があればの話ですが、幸いな事にその方面、年々進化して止まるところを知りません。自動車だって100年に一度と言われる大変革期が訪れているのです。これから電動化に自動化、IOT化、コネクティッド化とめじろ押しです。生産性の向上が望める産業からは、どんどん労働力が余って行く訳です。

これで財源や供給力がないなどとふざけた事を言うなら、そんな政府は転覆させるしかありません。(笑)まあ、確かにGDPに占める医療費負担率は増えますが、医療支出が増える反面減る消費も必ずある筈です。そこはやりくり次第、政治の腕の見せ所です。

最悪でも国債を刷ればいいのであって、その場合のリスクがインフレと言うのでは財政的説得力はないです。インフレにさえすれば解決する問題は山ほどあります。

 

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