緊縮財政なんて言っている場合なのか。
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PB黒字化なんて大した問題ではない。それは財政赤字の一つの目安に過ぎず、それを黒字化したところで、日本の財政が危険な状況にある現実は変わらない。
先日の記事の続きになります。日本の財政が危機的な状況にあるとは全く思いませんが、「PB黒字化なんて大した問題ではない」と言う下りには同意します。彼の言う通りで財政赤字のひとつの目安に過ぎないのです。黒字化という事は重税国家を意味しかねず、決して自慢出来る事でもありません。
供給力に限界がある昔の感覚で言えば、過熱する景気を冷やすため、という大義名分がありました。設備投資が活発で資金需要が引きも切らず、さらにインフレも含めた右肩上がりの状態が続いていると、行き過ぎたインフレを抑えたくなるのは当然な流れです。
ところが今のように、大企業は内部留保をたんまり持ち、生産設備も過剰な状態で、しかも人口が減っていくとなると企業はお金を使いたがりません。その分需要が期待出来る海外に向かうのはやむを得ないのです。そうなると悪循環で増々国内の景気は冷え込みます。正に「企業栄えて国滅ぶ」です。
そんな状況で増税すれば、結果は火を見るより明らかです。従ってこういう場合は減税しかありません。あるいは民間に変わって政府が負債を増やし財政出動するか、程度によっては両方という手さえあります。
つまり今に置き換えれば、多少景気は上向いて来たものの、未だそれを冷まさす時期ではない、従って減税は望めないにしても、増税するなんて事はあり得ない、そういう状況と言えます。むしろアベノミクスで当初唱われていた機動的な財政出動をなぜやらないのかと不思議です。
そもそもPB、プライマリーバランス(基礎的財政収支)が均衡しなければいけないなどと言う経済セオリーはありません。黒字化が大した問題でないように赤字だって大した問題ではないのです。そこは政府の調整代と言えます。
具体的な例で説明します。昨年度の一般会計で見れば歳出97兆円に対し歳入が63兆円と34兆円程不足していますが、償還と利払い分の国債費24兆円を含むので実質のPB赤字は10兆円に過ぎません。一見大きく感じますが、特別会計と合算すれば、GDPの40%にもなる国民負担総額に占める割合は5%程でしかないのです。
その5%を消費税などの間接税で賄おうとすれば、国民から可処分所得をその分奪う事になり消費は減ります。もちろん政府支出でGDPに戻っては来ますが、それで全体の消費のパイが増える事にはなり様がないのです。
所得の移転、つまり再分配をいくらやっても効果は限定的です。これが直接税なら話は違います。高所得者層から低所得者へ再分配が行われたなら、間違いなく消費は増えるのですから、財政問題に対する考え方の根本が間違っていると言わざるを得ません。
昔よくやっていた直間比率の議論が全く行われなくなったのはなぜでしょうか?これも財務省の陰謀かと疑いたくなります。いずれにしても未だ実質的にデフレが脱却出来ていない段階での増税はあり得ないし、PB黒字化も何の意味もありません。それこそ将来へツケを廻す事になります。
それより肝要なのは、いかに新しい付加価値を産み出し、自然と共存する持続可能な社会を構築するかです。構造改革なんて軽い言葉でお茶を濁さないで下さい。今世界には100年に一度という大変革期が訪れています。クルマでいえば自動化、IoT含むコネクテッド化、電動化です。それらを束ねるには超高性能AI が求められます。
さらに言えば、パリ協定を忠実に遵守するなら2050年までにCO2を13年時点の80%も削減しなければならないのです。このためにもまた各方面で革新的な技術が必要で、さもなければクルマを持つなんて夢のまた夢になります。
1960年の生活レベルに戻っても構わないというなら話は別ですが、それが本当に地球や人類にとって良いのかと言えば、そうとも限りません。なぜなら進化こそが未来を切り開く道であって、後退は座して死を待つ事を意味するのです。これまでの、いつの時代も持続可能であった試しはないのですから。
つまり、投資という観点からも、お金がいくらあっても足りない状況が目の前にあり、上手く乗り切った暁には超高付加価値時代、つまりGDP倍増時代が到来するのは自明です。
未来を切り開く技術が先か、地球と共倒れが先かという、死ぬか生きるかのレースをやっている最中に、緊縮財政、PB黒字化なんて言っている官僚や政治家のおつむは全くお粗末としか言いようがありません。
何が財政危機だ。ボケボケしてるじゃないよ。ったく。(笑)
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コメント
減税致しましょう!!!最低5%に戻す。又はZero
投稿: | 2018年1月11日 (木) 02時21分
日本人の敵、財務省。拡散させましょう。
投稿: 八丈島 | 2018年1月15日 (月) 19時33分