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2018年2月

2018年2月10日 (土)

日本は海外のためのATM装置か

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また少し間が空いてしまいました。この忙しさは当分続きそうです。大変申し訳ありませんが、週一程度の更新が精一杯かも知れません。

さて今日はお金(金融)の話です。これは非常に分かり難いし、説明も簡単ではないので何度も繰り返ししなければなりませんが、最近話題の仮想通貨も含めて私の考えを述べます。

まず株式です。このところの株価の大変動にビビっている人は多いのではないでしょうか。私などはまたか、という感想しかないのですが、この上げて下げるパターンは誰かさんが儲けるパターンです。僅か一ヶ月程の間に2700円も変動しました。
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その裏には買い越して儲け、また空売りで下げても儲けるという、二重にキャピタルゲインを手にしている人、あるいは機関がいる筈です。それは恐らくデイリーな売買の70%は占めるという外国人投資家達です。

これは日銀のHPのデータでも分かるように、具体的な数字となって表れているので疑う余地がないのですが、なぜこのような理不尽な制度を国家として採用しているのかが不思議です。まるで海外へ資本が流れるのを容認しているかの如くです。

ところで日本の昨年度の経常収支は21兆円の黒字だという報道がありました。まるで、こんなに儲かったんだよ、と言わんばかりの調子です。ところが経常収支の累積である筈の対外純資産は目減りしているのです。

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経常収支が万年黒字の国なのに妙です。為替の変動によるものでは?と言われるかも知れませんが、ドル建てで見ても減っているのですから明らかです。外国人投資家の誰かがキャピタルゲインを増やしている以外に考えられません。

そのための金融緩和ではないかと思わず疑ってしまいます。異次元と言われる金融緩和で日本のマネタリーベースは異常なくらい膨らみました。その額はEUや米より多いのですから正に金満大国と言わざるを得ません。

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   (オレンジ色がM2、青色がM3の伸び率)

ところが肝心なマネーストックは増えていません。M2もM3も同じように近年は3〜4%増で推移しています。これが意味する事は銀行からの貸し出しが伸びていない事です。これではインフレにもならないし、給料も上がりません。

日本は必要が大してあるとは思えない株式という制度で、折角金融緩和で増やしたマネーを海外に貢いでいるのです。つまり具体的には経常収支で儲けた外貨を海外に還流させているという事です。

見方を変えれば、その分の日本のものやサービスという生産物(付加価値)をただで海外に差し出しているという訳で、間抜けな話と言えます。その始末は政府がつけるしかないので必然的に政府負債も膨らまざるを得ません。こういう金融構造の中に我々は組み込まれているので経済成長もおぼつかない訳です。

次に仮想通貨ですが、こちらも海外のためのATMではないかと疑ってしまいます。そのくらい怪しい事が立て続けに起こっていますが、誰が責任を取るのでしょうか。こういういい加減なものをマスコミ等が垂れ流す不誠実な情報に煽られて買う人の気が知れません。

これも株と同じで通貨量は一切増えないのです。いくら株が上がろうがビットコインが高くなろうがマネーストックはびた一文増えません。つまり日本経済には全く貢献しない訳です。これは知っておく必要があります。

仮想通貨などと通貨が名前についているので通貨の一種かと勘違いしている人が多いのですが、言わばポイントのようなものです。どこかのスーパーが出すポイントを売り買いして上がった下がったと喜んでいるようなもので、これくらい下らないものはありません。

海外への送金手数料が劇的に安くなるなどと喜んでいるの間の抜けた人もいるようですが、そのコストは誰かが払う事になります。広く薄く負担するか、あるいは大きく損をする人がいて払っているだけで、胴元はキッチリその分の利益を出している筈です。もちろん海外に持ってかれたならその限りではありません。

株も仮想通貨も全て売り払って整理すると、金融資産はマネーストック残高だけとなります。つまり株(現システム下の)も仮想通貨も誰かが儲けるために膨らませた邪な泡でしかないのです。

ところで黒田日銀総裁の続投が決まったようですが、それが意味することは上記システムや国としてのスタンスが何も変わらないという事です。

 

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2018年2月 2日 (金)

EVはHVを超えられるのか?

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 また随分間が空いてしまいました。公私共に忙しく、前回更新の後1月31日までは土日もない、時間に追いまくられる日が続いていたのです。毎日のように来て頂いている読者の方には大変申し訳ありませんでした。

さて今日は久々クルマの記事を書きます。まず昨年の世界全体での機種別販売台数ランキングです。

1. トヨタ カローラ:116万495台
2. ホンダ シビック:83万3017台
3. フォルクスワーゲン ゴルフ:78万8044台
4. トヨタ RAV4:78万6580台
5. ホンダ CR-V:75万3359台
6. フォード Fシリーズ ライトデューティー:73万596台
7. フォード フォーカス:65万6071台
8. フォード エスケープ:63万2529台
9. フォルクスワーゲン ポロ:61万4827台
10. トヨタ カムリ:56万9760台

 

11. 五菱 宏光(ウーリン ホングァン):53万4251台
12. 日産 キャシュカイ:52万6970台
13. ホンダ アコード:52万4914台
14. トヨタ ヤリス ハッチバック:51万8736台
15. フォルクスワーゲン ラヴィーダ:51万4589台
16. ヒュンダイ ツーソン:48万4322台
17. フォルクスワーゲン ティグアン:47万158台
18. シボレー シルバラード:46万5319台
19. トヨタ ハイラックス:45万9984台
20. 哈弗(ハバル) H6:44万8188台

ベスト5に日本車が4機種も名を連ねていますが、大衆車に強い日本自動車産業のビジネスモデルが浮き彫りになっています。一方20位までに御三家といわれるジャーマンスリーからは一機種も入っていないのが興味深いです。売上高では70兆円のトップ日本勢に肉薄するドイツブランド(60兆円)ですが、量より質で勝負しているのが見て取れます。

因に国別の平均価格で見るとダントツドイツが一台約400万円、二位の日本が250万円程ですから差は歴然です。後はドングリの背比べで大差はありませんが、英国車は除外しています。殆ど大衆車を有せず、年間50万台程しか生産しない英国車は参考になりません。スウェーデンも同じ理由です。対象は200万台以上生産している国としました。

しかし日本で、拡大再生産の空しさに気付いているメーカーがどれだけあるでしょうか。トヨタの豊田章男社長は販売台数トップ争いにうんざりしたのか、はっきり今後は量より質だと言っていましたが、そこまで言い切る経営者は少ないです。漠然とどちらも取りたいと思っているのではないでしょうか。

いずれにしても、日本には高級車を造る技術は全てありますから、後はコンセプト創造力とデザイン力です。その辺りは急に身に付くものでもないので急げとは言いませんが、将来的にドイツ型、英国型が目指せるように今から準備しておく事が肝要です。

未だに貴族が存在していて、格差社会が当然の欧州とは文化が違うと言われればそれまでですが、それなら1億総上流を目指せばいいのであって、それを不可能と決めつける必要も根拠もありません。私はそう思います。

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そこで、という訳でもないのですが、トヨタがGRスーパースポーツコンセプトという名の面白いクルマを発表しました。(上)2016年のル・マン24時間レースで残り3分までトップを走っていたレーシングカーがベースです。

今年の東京オートサロンに出展されたそのクルマは、明らかにレーシングカーの出で立ちをしていました。量産車には程遠いデザインと言わざるを得ません。

ところがトヨタは性能も含め、なるべく変えない形、つまり車検に通る最低限の変更で市販するつもりだと言うのですから吃驚です。一体いくらで誰に売るつもりなのか、そしてその真意はどこにあるのでしょうか。Gr

ところで、ここで熱効率の話をしたいのですが、通常のガソリンエンジン車は30%程度と言われています。つまりエネルギーの70%は捨てる訳です。これがハイブリッドカーになると効率の悪い低速域を負担しなくて済むのでぐっと上がります。

中高速域に強い専用の、例えばアトキンソンサイクルエンジンを積めば新型カムリの場合、エンジン単体での熱効率は41%にもなると言います。さらにエネルギー回生分を入れると使われ方にもよりますが50を超え55%が視野に入って来ると言いますから凄い話ではないでしょうか。

LNG火力発電の熱効率が50~60%ですから正に効率のいい発電所並みです。これが何を意味するのかと言いますと、将来を約束されている筈のEVの未来に大きな暗い陰を落としかねない、という事です。つまり火力発電の電力を使う限りEVと言えども熱効率はハイブリッドカーと大差ないと言えるのです。それはCO2排出量が結果的に同じ、という事を意味します。

そこで現在の日本の発電状況ですが、原発が殆ど稼働していない今、未だ存在感の薄い再生可能エネルギー分を除けばLNG発電が最も効率が良いという事になります。これが発電の全てなら未だ希望が持てるのですが、実際は熱効率36%の石炭、石油の火力発電が全体の40%近くを占めるので平均すると50%に届きません。

そうすると現状で言えば、EVを造れば造る程、発電所からのCO2排出量は増える事になります。効率の悪いガソリンエンジン車と置き換わるのであれば多少はましですが、それもEVに不可欠なリチウムイオン電池を製造する過程で大量に出るCO2と相殺されてしまうのです。

さらに言えば発電所で造られる電力は送電の過程で5%程度のロスが発生します。さらにEVに届いても、自然放電等、意図しないマイナス要素が多々あり、減速で得られるエネルギー回生分を相殺してしまう程です。これがHVであればロスは殆どゼロです。ガソリンスタンドでガソリンをこぼす人がたまにいるかも知れませんが、まあ無いに等しいでしょう。

しかもこの場合は発電所から排出されるCO2は殆ど増えません。HVにもリチウムイオン電池は積みますがEVの数十分の1ですから大した数字にはなりようがなく、それどころか通常のガソリンエンジン車と置き換われば、クルマが直接出すCO2はむしろ減っていくのです。勝負は目に見えていると言わざるを得ません。

そこで彗星の如く現れたトヨタのGRスーパースポーツですが、これは熱効率50を超え、最終目標は60%だというのです。LNG発電所並みのこの数字を達成した暁には現行EVがWELL TO WHEEL で排出するCO2量をかなり大きく下回る事になり、EVの長所が消え去ります。

つまりトヨタがこのクルマを市販する意図は、最高効率のシステムを実験的に市場に投入する事と、今後20年はハイブリッドの時代が続くという事を高らかに宣言する事にあると言えるのです。言わばストロングハイブリッドが苦手な欧州に対する、無言の勝利宣言でしょうか。

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もちろん今後原発や再生可能エネ発電が大幅に増えるのであれば話は別ですが、楽観的としか思えない2030年度の電源構成目標を見ても、未だ30%近くは石炭、石油です。HVのさらなる進化を考えれば、とても安心は出来ません。

さらに、それだけでなくGRスーパースポーツには最先端のコネクティッド技術が搭載されると言います。クルマからの情報をクラウドに上げ、AIが分析して、フィードバック、陰でドライバーを見守り支えるというのですから心強い限りです。

航空機のコンピュータ支援システムの地上版、スポーツ走行のための高度運転支援という訳です。1000馬力もあるスーパースポーツの性能を引き出そうとすれば、人間の能力を超えるケースが出て来て当然です。そこをAIがカバーするというのですから正にスーパーハイテクマシーンと言えます。

それにしてもトヨタのこの余裕、シャレたやり方、分かる人が見れば一目瞭然で、ドイツ人技術者らが焦る様子が目に見えるようです。またルールが変わりますよ。(笑)

(参考、自動車評論家、池田直渡氏の記事

 

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