車はコモディティ化しない
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皆さんお久しぶりです。前回のエントリーから一ヶ月も空いてしまいましたが、忙しさが一段落したのでまた書き始める事にします。
さて今日の話題は残念なニュースからです。私の好きなテレビ番組の一つであるMXテレビの「ニュース女子」が終了するとの事でがっかりしたのですが、その理由が沖縄で暴れている左翼を批判したから、という事らしいです。
その放送は見ていないので何とも言えませんが、沖縄が近隣海外勢や国内の在日を中心とする極左勢力に翻弄されているのは紛れもない事実です。つまり大筋では間違っていない事を言っていると思われます。
(経済音痴の女性を、専門家のおじさんたちがいじる?・・そこはどうでもいいのですが、比較的まともなことを言う保守系時事解説バラエティ番組「ニュース女子」)
その程度の事で放送終了にまで追い込まれるというのは、この国の言論の自由は恐ろしい事になっている証拠です。もっといい加減で、嘘ばかりついている他の局の報道番組は野放しであるにも関わらずですから酷いもんです。
クオリティペーパーと言われている朝日や毎日新聞だってデタラメでメチャクチャじゃないですか。(笑)地方紙は言うに及ばずで、外国の新聞かと目を疑うようなものばかりです。
左翼とは直接関係ありませんが、日経新聞なども肝心な経済記事でさえ読めたものではありません。素人が書いているとしか思えないのです。つまり日本国民が通常目にするニュースは思い切り間違っているか偏向していているか、なのです。
その中で唯一政治的な事ではまともな事を言っている「ニュース女子」が終了するのですから何をか言わんや、日本はある意味真っ暗闇ではないでしょうか。まともな番組がなくなります。
尤も、政治的な事では、と注釈をつけたのは、保守派で固められた「ニュース女子」と言えども経済ではかなり怪しい事を言っているからで、保守的な人が皆正しい経済知識を身につけている訳ではないと思い知らされます。やはり経済は難しいのでしょう。特に特定の専門分野ではあり得ない事を言ったりしています。
例えば前々回だったでしょうか、出演者の一人が日本はEVの製造では中国の部品供給基地になるかもしれないと言っていました。さらに世界はスマホのように中国製EVに席巻されるだろう、というのですから開いた口が塞がりません。6〜7人もいる出演者、各分野のエキスパート全員がそういう認識を持っているようです。
こういう事は自動車だけに留まらず、他の分野でもあり得ると思うのですが、経済を論じるには実に多岐に渡る専門分野の知識が必要なのだと思い知らされます。それが意味する事は、現場を知らない、あるいは企業に勤めた事のない経済学者は常に机上の空論を言っているに過ぎないという事です。
たった一つの仮定が間違っているだけで正反対の結論が導き出されます。それに政治家が翻弄されれば国を間違った方向に導くのは自明で、日本の現状も宜なるかなと、つくづく考えさせられます。まあでもドイツを見てもアメリカ見ても政治は似たようなもので、それでも何とかやっていけるのは我々国民の忍耐?によるものなのでしょうか。
(テスラの真似事か、超弩級EV スポーツカーを計画する中国メーカー、地に足がついていない。)
ところで前述の中国製EVの件、どこが間違っているかですが、多過ぎて今回だけでは説明しきれない程です。(笑)どうもEVを液晶テレビやスマホなどと同じく、国際水平分業で作れるコモディティ商品と思っているようです。これだけはあり得ません。
まず、ガソリンエンジン車やハイブリッドカーでは先進国に勝てないがEVでは勝てる、という大前提から崩壊しています。実際ガソリンエンジンは中国内で三菱が生産し無制限に供給しているので優秀なガソリンエンジンが作れないから勝てないという理由は成立しません。
最新の三菱製エンジンを乗せていくらでも海外に売ればいいのです。実際民族資本系の自動車会社は安く供給される国内製三菱エンジンを搭載しています。従って輸出が出来ないのはそれなりの理由があるからで、まず中国の政治体制に問題があるのは明らかです。ご存知のように中国は一党独裁の共産主義国家で、自由主義経済、自由貿易とは対極にいる訳です。
その国が先進国に輸出するには、まず自国の規制を緩和しなければなりません。少なくとも、高関税をかけるにしろ相手国からの輸入を認めなければ話にならないのです。だから日米欧は不平等な契約、高リスクにも関わらず中国まで出かけて行って合弁会社を作っている訳です。
その方が中国にとっては美味しいに決まっています。現地に工場を作り雇用を促進し、技術を落としてくれて、周辺に部品産業まで起こしてくれるのです。そのお陰で奇跡的な経済成長を果たしているではありませんか。これが一度自由貿易を採用したなら、売れたら売れたで為替変動に悩まされる事になります。つまり元高によって厳しい競争に晒されるのです。
この場合、これまでのようにドルペッグが容認されるとは思えません。トランプさんあたりが為替操作国と言って大騒ぎする事でしょう。だから中国は自動車非生産国だけに輸出しているのです。と言うか、国内に巨大なマーケットを持つのでそこまでのリスクを負う必要が今のところないのではないでしょうか。
次に、性能の話ですが、車の性能はエンジン、つまり動力性能だけで決まる訳ではないのです。まず頭に浮かぶ操縦安定性ですが、色々な条件を満たしつつ車をドライバーの意のままに走らせる事は生易しい事ではありません。次に衝突した場合の安全性、人に当たった場合の対策等、これがどえらく大変なのですが、長くなるので今日はさらっと流します。
さらに耐久性も問題で、消耗品以外の重要部品の寿命を長いものに合わせる必要があります。エンジンだけ長持ちすればいいという訳にはいかないのです。それがコストに直結するし、エコロジーにも繋がってきます。快適性も含めた居住性ももちろん重要で人間工学の粋が結集される事は言うまでもありません。
他にもあらゆる性能に繋がる軽量化にNVH(ノイズや振動騒音等)があって、さらに商品性に直結する外観品質問題があり、いずれも一朝一夕に高いレベルが得られる筈もないのです。膨大なノウハウの蓄積が必要です。
(かなりリアルになって来たダミー人形、高いものは1億円?)
ついでにもっと言えば、衝突安全のためには数十億円もする高価な設備が必要で、何千万円もする試作車に、これまた一体何千万円もするダミー人形を乗せて何十台も潰します。とにかく何をやるにも莫大な費用がかかるのです。そういうデータを持って設計しても一発OKという訳にはいかないのが悩ましいところです。
そもそも中国人は簡単にリバースエンジニアリングと言って日本車などを分解したがりますが、現物さえあれば、あるいは図面通りに作ればものが出来るという考え方が甘いと言わざるを得ません。そこは家電製品とは大きく違うところなのです。
因にもう20年も前から日本人やドイツ人技術者が大挙押し寄せて中国の車造りをサポートしていますが、民族資本系メーカーで先進国レベルの車が作れるところはありません。米のテスラは瞬間的に高級EVを作ったように見えますが、実際は一台作る度に300万円もの赤字を垂れ流しています。
つまり、新興メーカーには蓄積の代わりにそれだけの投資が必要だという事で、テスラはそこまでしても持続可能なビジネスにはなり得なかった事を証明したに過ぎません。テスラが未だつぶれないのは社長イーロン・マスクの詐欺的話術?手腕によるものと言えるのではないでしょうか。
どんどん長くなりそうなので一回切ります。この話もう少し続けるかも知れません。いずれにしても日米欧の先進国が50年以上の長きに渡ってしのぎを削り培って来た技術、ノウハウは、昨日今日誕生したメーカーが簡単に習得出来る程あまくはないのです。
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コメント
田中様、UP有難うございます
ニュース女子の配信が打ち切られるのはMXTVの放送だけでユーチューブでは放送されるようですからご安心ください。 MXTVはBPOの不当な干渉に屈したわけです。
自動車産業の今後、面白くなりそうですね。欧州では完全EV化を回避する動きが出てきました。もうこれだと日本車の独走態勢が見えてくるのですが、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダの研究開発に期待しています。田中さんの次回のUPをお待ちしています。
投稿: ナベ | 2018年3月12日 (月) 20時06分
こう言った自動車の話は田中様ならではです。いい勉強になります。そういえばトヨタがさらに燃費いいエンジンを開発するというニュースがありました。すべてEVになってしまうならその必要はないですが。
リニアの談合をニュース女子では批判していましたが、どうでしょう、私は談合はいいと思うのですが、だいたいあのような大型プロジェクトを請け負える企業は限らているのでその調整は必要なのではないでしょうか。財務省が検察とつるんで安倍政権つぶしのためにやっているという意見もありました。憲法改正がそれほど困るのでしょうか。
投稿: 八丈島 | 2018年3月13日 (火) 00時01分
ナベさん、八丈島さん、いつもありがとうございます。常連さんのコメにはほっとさせられます。
EVに関して日本のマスコミは簡単に欧州のプロパガンダに乗せられていますが、一番EV化が難しいのが、実はドイツだという事が分かっていません。(笑)中国同様、石炭による発電が大半の国が、そんな事をしたら自殺行為です。
談合に関しては、民間企業だけを責められないでしょう。旧態依然とした行政側の発注方法にも問題があります。規制緩和と言うより、メスを入れるべきところは未だ沢山あるのです。
憲法改正は・・・遠い道のりに見えますね。
投稿: 田中 徹 | 2018年3月13日 (火) 09時36分