愚者の選択
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財務省は25日、日本の政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が、平成29年末時点で前年末比2・3%減の328兆4470億円になったと発表した。
減少は3年連続。外国人投資家が保有する日本株などの値上がりで、対外負債が増えたのが主な要因。また、日本企業によるM&A(企業の合併・買収)が増え、対外資産残高が初めて1千兆円を突破。米国向けの直接投資残高は過去最大を更新した。(中略)
対外資産の残高は2・7%増の1012兆4310億円で9年連続の増加。日本企業によるM&Aや工場建設が拡大し、海外直接投資残高が10%増の174兆6990億円に膨らんだことが寄与した。
この記事を読んで、日本は海外に投資する企業が多いので対外純資産が増えている、あるいは多いのだと思っている人はジャーナリストにも少なからずいます。それは全くの間違いだと言わざるを得ません。上の記事の説明も十分とは言えず、誤解を生みます。あるいは正しく理解をしていないのか?
簡単に言うと、海外に投資をするという事は円を外貨に交換する事を意味するので、資産だけが増える訳ではないのです。投資の結果は、海外に外貨を使って得た資産が残り、日本国としてはその分保有外貨を減らします。(あるいは負債を膨らませる)
逆もまた同じです。海外企業が日本に投資をすれば円が必要になるので外貨を売って円を得ます。すなわち円建て資産が増える代わりに、その国の外貨資産を減らすという訳です。言わば行って来いの関係です。
尤も、海外の資産が買った時より高く売れた場合は収支がプラスになりますが、その場合は所得収支にカウントされて経常収支が増える事になります。
つまりいくら企業が海外に投資をしようが、それ自体で純資産は増えも減りもしないのです。ではなぜ万年経常黒字国である日本の対外純資産が減るのかと言えば、円高の場合と金融収支がマイナスになる事が考えられます。
上の記事でも3年連続減少の大きな理由は株の値上がりが原因とされていますが、いわゆるキャピタルロスで日本の金融資産が海外(外国人)へ流れたという意味です。
(円建てでは目立たないが、外貨建てにすると日本が海外投資家の草狩り場になっている事がよく分かる)
株なら日本人も儲かっているじゃないか、などと寝ぼけた事を言ってはいけませんよ。(笑)株高のメリットは、含み資産の増加などで企業価値が上がったりと、株の売買以外でも勿論ありますが、国内での売買はあくまでも資金移動に過ぎません。
いくら株価が上がってもトータルでみれば実資産はプラマイゼロです。と言う事は外国人が儲かった分に関しては、その分確実に凹む事になるのです。その意味はもちろん、日本人の誰かが損をしている事になります。
これで日本は随分貿易や海外投資などで獲得した外貨を減らしていますが、それでも世界一の債権国(対外純資産保有国)です。しかも30年近く世界一の地位を維持していると言います。それなのに、実態はデフレに喘ぐ落ち目の国??
だから私は常々アホみたいだと言っているのです。債権国は嫌われる事はあっても決して好ましい事でも偉い訳でもありません。未来永劫もらえる事のない海外からの物資を待っているだけです。
だって海外から買いたいものなど数える程しかないのですから、外貨を貯めてどうするの?と言いたいです。(笑)それだけの資源と供給力があるのなら国内のために使うべきです。
精神的な事を除いた「豊かさ」という尺度で言えば、いくら円やドルを持っても豊かにはなれません。消費すべき「もの」や「サービス」があってなんぼで、それらを自分のものにした時にやっと生活が豊かになるのです。
例えば昔三種の神器というのがあって、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、が買えれば生活は確実に豊かになりました。その後は3Cで、カラーテレビ。クーラー、カーはもっと日本人の生活に幅を持たせたのです。
そんなものとっくに行き渡っているからもう買うものはない、だから経済成長もしない。などと言ってはいけません。それなら今日本にいる間抜けな経済評論家と同じになってしまいます。
そうではなく、全て持った段階からは質の向上が生活をより豊かにして行くのです。これには際限がありません。簡単に言えば車の場合、色々な新しい付加価値を加える事が常態化しています。衝突防止や自動運転、電動化、地球との共存のためのデバイスに快適装備と、数え上げればキリがない程です。
家もそうです。耐震、免震、防音、遮熱、電化に素材の進化などがあります。それにプラスしてソフト、この場合はデザインや触感等の五感に訴える質の部分が加わるのですから、永遠に進化は続くのです。
そんなものがあっても、肝心なお金がなければ買えないじゃないか、というあなた。かなり症状が進んでいます。(笑)ものを作って、しかも付加価値を上げて行くという難しい仕事より、お金の方が簡単に手に入るのです。だって刷るだけじゃないですか。
外貨はそういう訳にはいきませんが、日本には外貨も有り余っている訳です。海外から天然資源以外で何かを買わなければ成り立たない経済の国ではないのですから、政府次第で何とでもなります。
国内に流通するお金の絶対量が足りないと言うなら政府がお金を刷るだけです。その結果として2%くらいのインフレになり、それが維持出来れば万々歳です。反対に政府の負債が増える事を怖がって何もしないのが一番愚かと言えます。
この場合は金融緩和ではなく財政出動です。公共事業でも何でも乗数効果が見込めるものに巨額投資をすれば日本の経済問題は全て解決します。具体的に言うなら生産性向上のための投資が今の日本には一番必要ではないでしょうか。
それを外国人労働力と交換するのは最悪の選択と言うしかありません。財源?それこそ日銀が国債を直接引き受ければいいだけの話です。
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