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2018年8月 9日 (木)

グローバル化の先に来るもの(その3)

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 中国の株式時価総額が日本を下回り、世界3位になったと米経済誌Bloombergが伝えました。この8月に時価総額が6兆900億ドルに目減りし、6兆1700億ドルの日本株を下回ったと言うのです。

因に米国の時価総額は31兆ドルだそうです。数年前に日本の時価総額を上回った中国株ですが、米国との貿易摩擦がこのところの低迷に拍車をかけているのでしょうか。

日本としてはこのまま行ってもらった方が安全保障上も安心なのですが、その確率は低くはないようです。と言いますのは中国経済の構造に関係しますが、GDPの40%以上は公共投資が占めます。しかもその内容は林立する鬼城でも分かるように、生産性向上に寄与するものが決して多くはないのです。

ケインズが言う、穴を掘って埋めるだけの公共事業でも経済効果があるのは日本のようなデフレの場合です。供給力もないのに意味なくばらまくと当然インフレになります。元々インフレの中国の場合は、よりインフレ、さらに通貨安になるのは必然です。通貨防衛をしている時期には避けたい方策と言えます。

ところで、凄く根拠があるとは思えませんが、ヘッジファンドのウォーレン・バフェット氏は先進国に限って言えば、株式時価総額とGDPが等しくなるべきだという興味深い持論を展開しています。日本の様に株式上場しない大企業が少なからずある場合、必ずしも参考にはならないと思うのですが、欧米は当てはまるのかもしれません。

その理屈で言えば、確かに日本の時価総額とGDPは近いです。上場していない企業分を株価に換算して加えるとそのくらいなるのかも知れません。また中国の場合は時価総額がGDPの約半分程しかないので、どう見ても供給力不足という事になります。あれだけ世界からの直接間接の投資があっても、先進国並には自国企業が育っていないのでしょう。

さて一方の、十分育っていると思われる日本企業ですが、株価や業績はアベノミクス以来好調なのに、なぜ経済成長しないのかという話をよく耳にします。これこそがグローバル化の弊害なのです。

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(企業が儲かっている割には株価が低過ぎるという根拠になるデータ)

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(所得収支の黒字で企業の経常利益は増えたが、それがGDPには何も貢献していないのが分かる。)

表でも分かりますように、企業の経常利益の割には日経平均が低く、名目GDPも低迷しています。これは海外から得た利益、主に所得収支の黒字が増えているからです。企業の経常利益と営業利益の差がマイナスからプラスへと逆転している事からも明らかです。

高度成長期の日本は逆でした。つまり期待分で株価の方が高かったのです。その期待は今はないのかもしれません。(笑)その時代は外需は決して多くはなく、むしろ内需で成長して来ました。今よりも多かった公共投資の割合が日本の成長速度に合っていたと思われます。

また表からは貿易収支や所得収支で構成される経常収支の黒字が増えるのと反比例して日経平均や名目GDPが下がっているのがはっきり分かります。つまり外需拡大による円高不況です。

政府がそれを避けるべく通貨を供給し、銀行の貸出し残高を増やせば問題がなかったのですが、米に忖度した日本政府は通貨供給を絞りました。それはマネーストックの増加率を見れば明らかです。90年を境に伸び率は大幅に減少しています。

ところでGDPに含まれる外需とは純輸出の事です。国内での付加価値を生まず、お金の出入りに過ぎない所得収支分は含まれません。ではなぜ輸出や輸入が付加価値を産むのかと言えば、輸出は言うまでもなく国内で生産する訳ですから当然です。

仕入れ扱いされる輸入の場合も、必ず国内に取扱業者がいてサービスなどの付加価値を生む(GDPにカウントされる)事は意外に話題になりません。完成品の場合が分かり易いので、自動車で説明しますが、例えば輸入業者としてY社がいたとします。

D国からB車を輸入して国内に販売する訳です。仮に一台1000万円で売ったとします。それを3年後に500万円で下取りし、整備し直して700万円で売りました。さらに3年後、250万円で再下取りし今度は400万円で売ったとします。この場合のY社の通算売り上げ、いや粗利はいくらになるでしょうか。

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(最近モデルチェンジしたベンツのCLS、3リッターモデルから1000万円を超す。デザインはあまり好きではない。)

仕入れは、企業秘密なので確かな事は税務署しか知りませんが(笑)欧米での価格などから類推すると、恐らく半分、すなわち500万円くらいではないでしょうか。そこで粗利が500万円になります。二回目は200万円、三回目は150万円で計850万円、これが4回五回と続けば1000万円くらい行ってもおかしくありません。

つまり、500万円で仕入れた一台の車は10年程で1000万円の粗利を生む訳です。年にして100万円、凄い話ではないでしょうか。GDPで言うなら500万円で仕入れた車はGDP500万円に直接貢献するのです。アプルーブドカー(中古車)の販売分を除いてもこの数字です。これはGDP内訳の内、殆どが個人消費に含まれる訳ですね。

「いや、そういう車は企業名儀で経費として買うケースが殆どだから個人消費ではない。」などと言ってはいけません。(笑)企業で買えばあくまでも仕入れの一部となり製品価格に反映されます。その製品は巡り巡って最終的には個人が買うので輸出分を除いた大半が個人消費になるのです。

と言う事は輸入が100兆円あれば、輸入業者の粗利分100兆円は内需扱いになります。雑な計算で恐縮ですが、これでいくと個人消費300兆円の3分の一は輸入に関するものと言えるのです。但し、全てが自動車や付加価値を付けやすい耐久消費財という訳ではないので最大値と考えて下さい。

それが意味するのは100兆円の輸入を全てやめて国内に切り替えれば、100兆円の原価プラス サービスの100兆円で、GDPが100兆円増えるという計算になります。仕入れが国内の方がもっと高くつくと言うなら、その分もGDPに加算されます。

さらに、輸出が100兆円あるとすれば、純輸出分100兆円が加わりGDPは200兆円も増えます。600が800ですよ。33%増・・・今のじり貧状態が嘘のようでしょう。(笑)GDPって何なの?と言いたくなります。

いやあ、実に面白い話ですね。こういう話をするとどんどん長くなりますので、また次回に続くという事にさせて下さい。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

GDPの内容分かりやすく興味深く読みました。輸入でGDPが上がる?の意味はなるほどなのですが、それは過半数にはならない事から、国内の生産、消費(購入)が上がらないとやはりGDPの伸びは頭打ちな気がするなあ…程度しか理解できていませんが((笑))。

話は変わりますが、ベンツの車の写真。顔(前面のライトを目にした感じの印象)がまるでドイツ人みたいな車ですね。目もややニヤけた感じ。全体としては、のっぺりした印象でデザイン的に私も好きでないです・・・。全くの個人的素人の意見ですが。

投稿: nao | 2018年8月14日 (火) 17時46分

ご無沙汰しております、ナベです

昨日、靖国神社に参拝し、3人の叔父たちと全ての英霊に感謝の祈りを捧げてきました。

田中さんの今回のシリーズを読みますと、日本の経済も悪く無いと思うようになりますね。思わず自動車株かデンソーなどの株を買っておこうかなと考えるようになりました。
 政治は野党がバカなので与党もヘタレています。安倍さんも財務省の頚木から逃れられません。あのシナでさえ、誰も住まない鬼城の建設を止め高速鉄道網を整備するという、正しい内需拡大政策をやるようです。
 日本も今までほったらかしてきた、治山治水、インフラの整備と補修、教育投資、防衛装備の近代化などやることはいっぱいあります。


ドイツ車を見て感ずるのですが、車の側板にプレスで緩やかに曲がったラインを付けて、恐らくのっぺりした面に補強とアクセントを付ける事で洗練されたデザインに仕上げているのではないかと想像しています。上手いやりかたですよね。

投稿: ナベ | 2018年8月16日 (木) 16時03分

高速鉄道網の整備?

他意は無いのですが。

利権がずるずる連なっていそうな気がします。

政治の治山治水の近代化などは、同意ですが。やる気はあるのかは疑っている状態です。

洗練されたデザインと言われれば反論しにくいですが、そうかなあ・・・洗練と言うより、野暮ったいのっぺりな気がするが、私が車のデザインに疎いせいとか感性の違いかもとは認めます。

投稿: nao | 2018年9月 2日 (日) 02時29分

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