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2018年9月

2018年9月28日 (金)

グローバル化の先に来るもの(最終編)

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[東京 27日 ロイター] - 貿易不均衡の是正問題に焦点が当たっていた今回の日米首脳会談で、安倍晋三首相はトランプ米大統領を相手に、自動車輸出への25%関税の実行を回避する交渉結果を獲得した。ただ、会談後に発表された共同声明の詳細を読み込むと、自動車問題は日本の喉に刺さったトゲになる可能性がある。政府・与党関係者の中には、一定期間の先送り後、何らかの対応を迫られるリスクを意識する声も出ている。

政府・与党関係者のひとりは、1)日本での米国車輸入拡大、2)米国での日系メーカー現地生産拡大、3)日本からの対米輸出削減──のいずれとも解釈可能と述べるとして米側が意識しているのは「現地生産拡大と輸出削減だ」と解説する。(ロイター)

 中国だけでなく日本でもトランプさんの言動が異常に注目されていますが、いつまでこの下らないバカ騒ぎをやるつもりなのか、理解に苦しみます。それとも何か下心でもあって、下手な猿芝居でもやっているのでしょうか。アメリカも日本マスコミもろくでもないので、踊らされないように気をつけましょう。

前にも書きましたように、例え25%日本からの輸入車に対する関税が上がったとしても日本への影響は限定的です。その理由は既に大半がSUVで、SUVの関税は元々25%だからです。乗用車は2.5%です。

米国内でのSUVのシェアは年々増えていて現在では60%を超えます。フォードなどは乗用車から撤退した程です。という事は日本から輸出のSUV比率が米国内と同じとしても、トータルでは9%のアップに過ぎないのです。それもSUV比率を変えるとか、価格の影響を受け難い高級車比率を上げるとか、やりくりによってリスク回避する事は、ある程度可能と思われます。

いやいや、そんな事よりもっと基本的な事を考えましょう。今の名目での為替レートは1ドル110円を超します。一方実質実行為替レートで言えば超円安という事になり、1ドル80円でもおかしくありません。その差は25%なんてもんじゃないのです。80円だとすれば40%もあります。つまり日本は異次元の金融緩和によって不当に安いレートを維持しているのです。

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そのお陰で日本の輸出産業はぼろ儲けしています。企業の内部留保も輸出産業中心に440兆円と異常に膨れ上がりました。という事はその反対側にマイナスの国がいる事になります。そうです。米ですね。(笑)日本や中国が不当に安いレートを維持しているがために米の貿易赤字は膨らむ一方なのです。

そもそも日本企業は1ドル80円前後の円高時にも米相手にちゃんと商売をしています。輸出が激減したという事実はありません。それが40%も円安になっているのですから左うちわです。今回トランプさんが自動車の関税を本当に25%にアップしたとしても15%以上のおつりが来るのです。そのことを誰も言わないのが不思議です。

為替レートの変動相場制は日本やドイツなど、輸出に強い国に対抗するために設定された、言わばペナルティ制度です。固定相場制では力の差が歴然となります。そのため、大幅黒字が出てもレートの変動によって調整され黒字も赤字も出難いようスタビライザーの役目を果たす目的で変動制になりました。

ではなぜ黒字国と赤字国がいるのかと言えば、為替介入をするからです。中国のドルペッグは悪質で有名ですが、日本の場合は、いわゆる日銀砲ですね。急激な円高を嫌って日銀がドル買い介入をやります。その結果ドルがたまり、それを米国債に替える訳です。その結果が1兆ドルを越す外貨準備になりました。米にとっては国債を大量に買ってくれるので痛し痒しの側面はあります。

対外純資産も変動相場制がまともに機能せず、経常収支の黒字が溜まりにたまった結果です。300兆円以上あって世界一だと得意げに言う人がいますが、はっきり言って自慢するような事でも、正常な事でもありません。日本は外需に重きを置いたため、こういう結果になりましたが、その陰には下請け苛めや、正社員でさえ給料を減らして来たという黒歴史があります。

円高になる度に協力企業への値下げ要請があるのですからたまったものではありません。ところが逆はない。(笑)内需主導経済なら起きなかった現象です。貿易摩擦が起きる程相手国を困らせている訳ですから、もっと相手の立場になって考えなければならないのです。それなのに何と、WTO提訴とか言うのですから実も蓋もありません。

その分を内需にさえ切り替えれば平和的、合理的で国民も豊かになれるのですが、残念ながら政府や経団連にはそういう発想はないと見えます。内需拡大とは口先だけで、実際は正反対の外需依存策を採っています。その結果として貿易摩擦は当然で、外国人観光客の多さにも辟易させられるようになりました。

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(鋸山の大仏、磨崖仏としては日本最大、なぜかここにも外国人観光客が押し寄せ、なかなかどいてくれないので困った)

外需依存と直接関係ありませんが、外国人労働者もどんどん増えていて日本語が通じ難い国になりつつあります。住み易く穏やかな国が変貌しているのです。貿易摩擦と同じで、グローバル化の弊害としか言いようがありません。

ではその外需に代替する内需があるかないかですが、その議論は散々やりましたので、ここで詳しくはしません。日本のように外貨をそれ程必要としない先進国ならマネーストックを増やすだけで内需を拡大する事は可能とだけ言っておきましょう。マネーストックの伸びとGDPの伸びが正比例する事は過去のデータが物語ります。

さて、ここでコメント欄でも言及されていた肝心の日本の実力について触れておかなければなりません。海外から技術を買ったり、主要部品を買ったりしなくても済むだけの力がこの先もあるのかという事は非常に気になる事です。それによって国としての方向性が変わるからです。グローバリズムに呑み込まれるかどうかという話にも直結します。

はっきり言って当分の間は安泰です。数十年くらいとしか言えませんが、その先の事はお天道様にも分からないので勘弁して下さい。(笑)その根拠は他がだらしなさ過ぎるからです。私の体験から、消去法で言って日本の優位性はしばらくは変わりようがないと申し上げておきましょう。

科学技術にかける予算や特許出願数で日本は遅れをとり始めたという声も聞きますが、私に言わせればチャンチャラ可笑しいです。(笑)質の悪いものをいくら出しても、あるいはいくら予算をかけても、ダメなものはダメ、出来ない事は出来ないのです。昨日今日目覚めた途上国が基礎から積み上げて何十年も経つ日本に追いつく事など至難の業です。

さらに言えば、その優位性は日本人の性格によるところも大きいと思われます。つまり他国に比べて圧倒的に忍耐強くオタク的なのです。好きな仕事のためなら採算度外視でも平気です。徹夜も厭いません。こういう損得に頓着しないところは美徳でもあります。

大谷君を見て下さい。年俸5〜6千万円ですよ。マー君?20何億だったか。。(金額の比較に出しただけで、マー君が悪い例という事ではない)こういう人は世界中探してもそう多くはいません。と言うか、会った事がありません。

そういう日本人固有と言える長所、特質が、海外からの圧力や工作、また日本マスコミによる愚民化策に負けて維持出来なくなったとき、日本はグローバリズムに呑み込まれるでしょう。その先の事は考えたくもない、という事でこのシリーズは終わりにさせて下さい。いつもながらの竜頭蛇尾でどうもすみません。(笑)。

 

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2018年9月24日 (月)

悲喜こもごも

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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また忙しさにかまけ、長い間さぼってしまいました。その間、水害、台風、地震の天変地異に政治経済問題、さらにスポーツでも実に色々なことが起きました。大坂なおみがグランドスラムで勝った事は、その勝利より相手の胡散臭さと観戦者のレベルの低さに呆れ、世界的に民度が下がっているのかもしれないと少しがっかりしたのです。

ゴルフでは強いタイガーが帰って来たのに驚かされましたが、また懲りもせずに白人女性(金髪ではない)と一緒にいるんだ、と感心したり(笑)それでもゴルフ界にとっては朗報に違いなく、今後が楽しみです。松山君が最近冴えないので心配ですが、タイガーと最終日に優勝を争うシーンを見たいです。

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(お馴染みの最終日スタイルで力強いショットを打つタイガー、昔よりは穏やかになったように見える。日本流に言うと、人間が出来て来たか?)

大谷君は、その才能をどんどん開花させているようで、イチローが提案するバッターと投手を一年毎に交互にやっていくスタイルがいいのではないかと思っています。ホームラン王を狙うにはそれしかないし、最多勝もそのやり方以外では不可能です。是非実現して欲しいものです。投手専念の年は、たまにピンチヒッターというのはありかも?いやいや、欲をかいてはいけません。

安倍さんが三選されたのは、相手が相手だけに当然だろうとは思いますが、またアメポチ政治を見せられるのかと暗澹たる気持ちになります。しかし、ロシアに対してもいいようにやられているのはなぜだろうと訝しみ、中国からの摺り寄りはチャンスでもあるのですが、どうせ活かせないんだろうなと冷めた眼で見ているこの頃です。(笑)

予想通りと言える石破さんの内容のなさ、品性のなさ、候補者ではありませんが進次郎の父親譲りの適当さ、危うさ、コウモリぶりも今回浮き彫りになりました。なんだ、人気だけで中身がないじゃないですか。いずれにしても経済音痴が首相になる悲劇からは逃れられないのです。人材がいません。

経済問題は何と言ってもトランプ発の世界を巻き込んだ貿易戦争ですが、それにしても米の中国叩きは本気のようです。やはり中途半端な状態でトラのシッポを踏んではいけないのです。ちょっと裏でこちょこちょやり過ぎたのでしょうか。習さんも命運が尽きかけているように見えます。

そもそも貿易で何とかしようという根性がいただけません。ゼロサムでしかない国際貿易は必要最低限に抑えるべきなのです。必要なだけ買う、その資金を調達するために同程度のボリュームを売る、というのが基本です。国際関係は全て相互主義、経済発展は内需主導でなければ意味がありません。国民が豊かにならなければ何のためのグローバル化かという事になります。

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中国に関しては色々言う人がいますが、なかなか潰れないのは秘密主義の一党独裁共産主義のせいで、実態は悲惨な状態だろうと思われます。貿易収支だけは黒字ですが、海外から国内への莫大な直接投資に起因する所得収支赤字は常態化しているし、何より金融収支の赤字は経常収支の黒字を大幅に上回ります。

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つまりお金(外貨)がどんどん出て行っているのです。喉から手が出る程欲しい外貨ですが、優等生でトラの子の貿易黒字がトランプさんの高関税策で赤信号が灯りました。これは痛い。だから日本に摺り寄っているのです。どういう形にせよ、世界一の対外純資産国、日本から外貨をくすね取りたいというのが本音です。

しかし、これでは政治的にいつどうなってもおかしくありません。政敵が虎視眈々と機をうかがいます。内乱にでも発展すれば廻りがいい迷惑です。それだけはやめて欲しい。。何度も言うようですが、緩やかに衰退してくれるのが最も望ましいです。それが日本の為、世界のためです。

ただこういう事実もマスコミがしっかり伝えないので多くの日本人は未だ中国に勢いがある、あるいは資金力があると思っています。私の友人でかなり知的と思われる人でさえそうです。

そう見えるのは単に海外での金遣いが荒いからであって、その根拠となるようなものはありません。実態は正反対で金融収支の赤字拡大(図表−3)が示すように、借金がどんどん増えているのです。

例えば日本ならあらゆる数字が豊かさと優位性を示しているし、技術力でも年々他国に差を付けています。。中国なんて問題ではありません。でもこれだけは海外と一緒に仕事をしてみないと分からないのかもしれませんね。

 

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