グローバル化の先に来るもの(最終編)
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[東京 27日 ロイター] - 貿易不均衡の是正問題に焦点が当たっていた今回の日米首脳会談で、安倍晋三首相はトランプ米大統領を相手に、自動車輸出への25%関税の実行を回避する交渉結果を獲得した。ただ、会談後に発表された共同声明の詳細を読み込むと、自動車問題は日本の喉に刺さったトゲになる可能性がある。政府・与党関係者の中には、一定期間の先送り後、何らかの対応を迫られるリスクを意識する声も出ている。
政府・与党関係者のひとりは、1)日本での米国車輸入拡大、2)米国での日系メーカー現地生産拡大、3)日本からの対米輸出削減──のいずれとも解釈可能と述べるとして米側が意識しているのは「現地生産拡大と輸出削減だ」と解説する。(ロイター)
中国だけでなく日本でもトランプさんの言動が異常に注目されていますが、いつまでこの下らないバカ騒ぎをやるつもりなのか、理解に苦しみます。それとも何か下心でもあって、下手な猿芝居でもやっているのでしょうか。アメリカも日本マスコミもろくでもないので、踊らされないように気をつけましょう。
前にも書きましたように、例え25%日本からの輸入車に対する関税が上がったとしても日本への影響は限定的です。その理由は既に大半がSUVで、SUVの関税は元々25%だからです。乗用車は2.5%です。
米国内でのSUVのシェアは年々増えていて現在では60%を超えます。フォードなどは乗用車から撤退した程です。という事は日本から輸出のSUV比率が米国内と同じとしても、トータルでは9%のアップに過ぎないのです。それもSUV比率を変えるとか、価格の影響を受け難い高級車比率を上げるとか、やりくりによってリスク回避する事は、ある程度可能と思われます。
いやいや、そんな事よりもっと基本的な事を考えましょう。今の名目での為替レートは1ドル110円を超します。一方実質実行為替レートで言えば超円安という事になり、1ドル80円でもおかしくありません。その差は25%なんてもんじゃないのです。80円だとすれば40%もあります。つまり日本は異次元の金融緩和によって不当に安いレートを維持しているのです。
そのお陰で日本の輸出産業はぼろ儲けしています。企業の内部留保も輸出産業中心に440兆円と異常に膨れ上がりました。という事はその反対側にマイナスの国がいる事になります。そうです。米ですね。(笑)日本や中国が不当に安いレートを維持しているがために米の貿易赤字は膨らむ一方なのです。
そもそも日本企業は1ドル80円前後の円高時にも米相手にちゃんと商売をしています。輸出が激減したという事実はありません。それが40%も円安になっているのですから左うちわです。今回トランプさんが自動車の関税を本当に25%にアップしたとしても15%以上のおつりが来るのです。そのことを誰も言わないのが不思議です。
為替レートの変動相場制は日本やドイツなど、輸出に強い国に対抗するために設定された、言わばペナルティ制度です。固定相場制では力の差が歴然となります。そのため、大幅黒字が出てもレートの変動によって調整され黒字も赤字も出難いようスタビライザーの役目を果たす目的で変動制になりました。
ではなぜ黒字国と赤字国がいるのかと言えば、為替介入をするからです。中国のドルペッグは悪質で有名ですが、日本の場合は、いわゆる日銀砲ですね。急激な円高を嫌って日銀がドル買い介入をやります。その結果ドルがたまり、それを米国債に替える訳です。その結果が1兆ドルを越す外貨準備になりました。米にとっては国債を大量に買ってくれるので痛し痒しの側面はあります。
対外純資産も変動相場制がまともに機能せず、経常収支の黒字が溜まりにたまった結果です。300兆円以上あって世界一だと得意げに言う人がいますが、はっきり言って自慢するような事でも、正常な事でもありません。日本は外需に重きを置いたため、こういう結果になりましたが、その陰には下請け苛めや、正社員でさえ給料を減らして来たという黒歴史があります。
円高になる度に協力企業への値下げ要請があるのですからたまったものではありません。ところが逆はない。(笑)内需主導経済なら起きなかった現象です。貿易摩擦が起きる程相手国を困らせている訳ですから、もっと相手の立場になって考えなければならないのです。それなのに何と、WTO提訴とか言うのですから実も蓋もありません。
その分を内需にさえ切り替えれば平和的、合理的で国民も豊かになれるのですが、残念ながら政府や経団連にはそういう発想はないと見えます。内需拡大とは口先だけで、実際は正反対の外需依存策を採っています。その結果として貿易摩擦は当然で、外国人観光客の多さにも辟易させられるようになりました。
(鋸山の大仏、磨崖仏としては日本最大、なぜかここにも外国人観光客が押し寄せ、なかなかどいてくれないので困った)
外需依存と直接関係ありませんが、外国人労働者もどんどん増えていて日本語が通じ難い国になりつつあります。住み易く穏やかな国が変貌しているのです。貿易摩擦と同じで、グローバル化の弊害としか言いようがありません。
ではその外需に代替する内需があるかないかですが、その議論は散々やりましたので、ここで詳しくはしません。日本のように外貨をそれ程必要としない先進国ならマネーストックを増やすだけで内需を拡大する事は可能とだけ言っておきましょう。マネーストックの伸びとGDPの伸びが正比例する事は過去のデータが物語ります。
さて、ここでコメント欄でも言及されていた肝心の日本の実力について触れておかなければなりません。海外から技術を買ったり、主要部品を買ったりしなくても済むだけの力がこの先もあるのかという事は非常に気になる事です。それによって国としての方向性が変わるからです。グローバリズムに呑み込まれるかどうかという話にも直結します。
はっきり言って当分の間は安泰です。数十年くらいとしか言えませんが、その先の事はお天道様にも分からないので勘弁して下さい。(笑)その根拠は他がだらしなさ過ぎるからです。私の体験から、消去法で言って日本の優位性はしばらくは変わりようがないと申し上げておきましょう。
科学技術にかける予算や特許出願数で日本は遅れをとり始めたという声も聞きますが、私に言わせればチャンチャラ可笑しいです。(笑)質の悪いものをいくら出しても、あるいはいくら予算をかけても、ダメなものはダメ、出来ない事は出来ないのです。昨日今日目覚めた途上国が基礎から積み上げて何十年も経つ日本に追いつく事など至難の業です。
さらに言えば、その優位性は日本人の性格によるところも大きいと思われます。つまり他国に比べて圧倒的に忍耐強くオタク的なのです。好きな仕事のためなら採算度外視でも平気です。徹夜も厭いません。こういう損得に頓着しないところは美徳でもあります。
大谷君を見て下さい。年俸5〜6千万円ですよ。マー君?20何億だったか。。(金額の比較に出しただけで、マー君が悪い例という事ではない)こういう人は世界中探してもそう多くはいません。と言うか、会った事がありません。
そういう日本人固有と言える長所、特質が、海外からの圧力や工作、また日本マスコミによる愚民化策に負けて維持出来なくなったとき、日本はグローバリズムに呑み込まれるでしょう。その先の事は考えたくもない、という事でこのシリーズは終わりにさせて下さい。いつもながらの竜頭蛇尾でどうもすみません。(笑)。
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