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2018年11月 2日 (金)

なぜアメリカは破綻しないのか(最終編)

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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「アメリカのトランプ大統領は27日、貿易問題で日本が市場を開放しない場合は日本車に20%の関税をかけると警告した」

 このおじさんは本当に何も分かっていないと言うか、頭が正常かどうか疑わしいと言わざるを得ません。この問題はこれまで散々米国とやって来ましたが、それさえも知らないのでしょうか。

日本の市場はとっくに開放されています。輸入車に対する関税はゼロです。まさかそれを知らないという事はないので、市場の開放とは非関税障壁の事を言っていると思われます。

具体的には左側通行等の日本独自の法規制、あるいは日本ではバカ売れしている、税が安く保管場所などの優遇がある軽自動車の存在、また大排気量を差別するような税制等々数え上げればキリがありません。

しかし、例えそれらをトランプさんが気に入るようなものに変えたところでアメ車が日本で売れるでしょうか。日本車の対米輸出は現地生産が増えたにも関わらず175万台です。

一方、今現在数千台に過ぎない輸入アメ車が、トランプさんの満足する数字になるとはとても思えないのです。なぜならバカでかさが売りのアメ車は日本の風土に合う筈がないし、品質的に見ても致命的に劣るからです。

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(米国で今一番人気のあるピックアップトラック、写真はフォード・ラプター、5M超の全長に2トン以上の車重、エンジンは3.5Lツインターボで450馬力というモンスターである。日本で売れるかどうかは・・・確かに男っぽい格好良さはある。)

従って、どう見ても努力すべきはアメリカのカーメーカーであって日本側ではありません。日本車は海外に受け入れられるよう血の滲む努力をして来ました。最初はアメリカでも見向きもされなかったのです。決して政治的圧力で現在の地位を築き上げた訳ではありません。そこを理解しない限り平行線は続きます。

何より、日本車を手に入れる事は米国人のメリットになるという視点が欠けています。経済は表に出て来る数字だけでは内情は分かりません。貿易赤字が何兆円もあって酷い状況だなどとデメリットばかりが強調されますが、それを上回る有形無形のメリットがあれば良いではありませんか。

故障ばかりして燃費の悪い車を使って仕事をすると生産性は確実に落ちます。それが日本車のような故障知らずで維持費のかからない車を使った場合は生産性が向上するのです。例えば車を使っての仕事の最中に故障すると、その車を使っていた人の時間あたりの稼ぎは当然減ります。それが結果的にGDPに表れるのです。ところがこの数字は貿易収支に表れる事はありません。

さらに日本車を売るのは現地のディーラーです。日本車を仕入れて30〜40%も高く売ります。それが中古車になればさらに付加価値を乗せて売れるのですから、壊れない日本車は1台で何度も美味しい目に遭えるのです。

当然リセールバリューも米車に勝ります。トヨタは一時期売れない米車に配慮して逆インセンティブ(実質値上げ)をつけた程です。これを見ても明らかなように日本車は米車を売るよりはるかに儲かるのです。当然これもGDPに反映されます。

もっと言うなら、米国は基軸通貨であるドル札が印刷出来ます。日本国民にとっては紙切れに過ぎないドルを刷れば高付加価値の商品が手に入るのですから本来笑いが止まらない筈です。そのドルはいくら赤字になっても、その分米国債などを売れば戻って来ます。

つまり米国は米国債という紙切れさえ売れば世界中の商品が何でも買えるという、凄い特権を持っているのです。そこを理解すれば貿易戦争などという実りのない争い事はなくなる筈です。

ところで、あるブログで米国人は日本円で決済すれば日本製品が貿易赤字なし手に入るという、魔法のような事を書いていました。本当ですか(笑)とんでもない珍説ですが、そう思っている人はインテリ層にも結構いるのかも知れません。全くの間違いなので、念のためそこを説明します。

円決済と言いますが、その円はどうやって手に入れるのですか(?)円が欲しい人は手持ちのドルと交換しなければならない事は子供にでも分かる理屈です。円がいくらでもただで手に入るのなら話は別ですが、そういう訳にはいきません。

何かを売って稼ぐか、あるいは借金しない限り他国の通貨を得る方法はないのです。つまりそれと同じで、海外からものを買った時点で米の金融資産が減る、あるいは負債が増えるのです。

例えば日本人が円でアメ車を買えば円が減りますね。ドルで買っても日本が持っているドルが減ります。それと同じなのです。要するにその国の金融資産が減る訳です。貿易収支は通貨が何であるかに関係なく二国間の収支で決まります。

100万円の価値の物を売って50万円の価値の物を輸入したなら収支は50万円のプラスです。その数字はお互いの国の通貨で表現されるだけで、購入のために何を使ったは関係ありません。個人間で物々交換でもすれば話は別ですが、税関を通す限り数字になって表れます。

でもよく考えると、日本が貿易黒字で何かメリットがあったかと言うと微妙なのです。確かに輸出企業は儲かります。その割合は対GDP比で15%程度です。残りの産業には直接的メリットはありません。と言うより今は同程度の輸入があるのでメリットは相殺されます。

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(オイルサンド、シェールガスが出現した事で輸入が減る傾向にある。逆にサービス収支と所得収支の伸びが米の経常収支を改善させ、結果として海外からの投資への依存度が下がっている。トランプさんはこういう事実を知っているのか?)

例え数字的に莫大な黒字であったとしても、ドルという日本では使えない紙切れと日本にしか作れない付加価値の高い製品を交換するのですから、どちらが有利かは自明です。おまけに使えない紙切れは溜まりに溜まって米国債などに交換され米に戻って行きます(上のグラフの赤いところ)。米国全体として短期的に見れば製品がただで手に入る計算です。

赤字が膨らんでデフォルトする恐れもありません。いくら赤字でも、またそれに対する利払いが増えようが、ドルさえ印刷すれば問題は解決します。恐ろしいのはそれによってドルの価値が下がり覇権国でなくなる=基軸通貨を失う、事だけです。そうならないように金融や政治力を駆使して諸外国からドルが還流する仕組みを作れば永久に安泰です。

そのシステムは今現在正しく機能しているように見えます。それを妨害する者、アイテムは排除されるのみです。そういう見方をすれば今世界で起きている事も納得のいく事が多いのではないでしょうか。少なくとも日本はがっちりとそのシステムに組み込まれているようです。

例えば日本などが貿易で稼いだ利益は世界に投資されて所得収支という利益を生みますが、米は巨大累積赤字(経常収支)を抱えているにも拘らず所得収支では世界一の対外純資産国日本を上回る黒字を計上します。

これは常識では考えられません。余程収益性の高い投資をしている事になりますが、米での商売は利益が出難く、海外は搾取し易いとでも言うのでしょうか。さらに知的財産使用料や特許料、旅行収支等から構成されるサービス収支の黒字も右肩上がりで巨額です。おまけに株式投資ではもっと多くの利益(キャピタルゲイン)を稼ぎ出すのですから、実際には貿易収支の赤字なんて大した問題ではないのです。

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ではなぜトランプさんがそこに拘るかですが、バカでないとすれば一つはポーズ、日本のような経常収支黒字国に外需依存を続けさせるよう誤った価値観を維持させる事は覇権国にとって大事です。そのためにはメディアを手なずけなければなりません。御用学者も相当数必要です。

もう一つは中国潰しでしょうか。中国は独自の技術力、供給体制(サプライチェーン)を国内に持たない途上国で、おまけに外貨建て債務も半端ありません。そういう国でトラの子の貿易黒字が減るのは致命的なのです。

外貨が減る→世界から自国にない部品や資源が買えない→経済が収縮する→軍事的優位性が保てなくなる、という流れになります。これが日本の場合だと、外貨が減る→自給体制を作る→内需が活性化する→軍事的にも強くなる、だから日本だけは外需依存を続けさせなければならないという訳です。

そういう事を知ってか知らずか、追い詰められた習さんは最近手のひらを返すように日本に摺り寄って来ていますが、アメポチである安倍さんが易々とそれに乗る事はありません。こちらも間違いなくポーズでしょう。通貨スワップをやると見せかけて中国が呑めない条件を色々出している筈です。

それが意味するのは、米一強体制を維持するために二番手の国としてポチの日本が相応しいという事を米が認めたという事でしょうか。この体制、つまり「圧倒的軍事力を背景とした政治力プラス金融力で世界支配」が続く限り米国の破綻も日本が再び米を脅かす存在になる事もありません。そのためのグローバル化であり、金融の自由化です。

以上、長くなりましたが「米はなぜ破綻しないのか」という理由の一端でもお分かりいただけたのではないと思います。実は日本が陰でかなりな部分を支えているのです。但し、これはあくまでも私個人の独断と偏見に満ちた見解である事を、念のため付け加えておきます。

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コメント

ドルを担保しているのが円だという事ですが、具体的には、米軍のプレゼンスを担保する自衛隊、日本の経常収支の黒字を米債権に向かわせる、またそれを海外投資させて海外の市場を育てる、がしかし日本が強くなる日本への投資は控えさせるということでしょうか。うまくできてますね。

投稿: 八丈島 | 2018年11月 6日 (火) 21時01分

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