投資をしなければ金持ちにはなれない?
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先日ある人と日本の金融資産の話をしていて、なぜ日本人が欧米人に比べ投資に消極的なのかという話になりました。皆考える事は同じです。私は元々慎重な国民性とバブル崩壊の後遺症ではないかと言ったのですが、それにしては時間が経ち過ぎています。
結局その解は得られなかったのですが、その人曰く、でも貯蓄額が世界で1、2を争う程あるという事は、それを使って銀行が融資したり投資したりするので結局は有効に使われている事になるのでは??
その時私は激しく違和感を感じたのです。ちょっと待てよ。銀行が貸出しをするから国民の資産がある訳で、その貸し出された資産の使い道の話ではなかったか?
これは鶏が先か卵が先かの話に似ていて、なかなか結論が出ない気がします。資金の流れの説明も難しそうです。でもいい機会なので今日は前回に続き、退屈かも知れませんが、金融資産に関する話をする事にします。
言うまでもありませんが、銀行はお金を貸すのがメインの仕事です。振込手数料などはそれに付随したサブの仕事でしかありません。貸し切れない資金は国債などの有価証券(400兆円)に向かいますが、銀行の資産の大半を占めるのは貸出し残高です。ざっと800兆程もあります。
一方銀行が保有する現預金は当座預金残高プラス日銀券等の現金で、これが400兆円以上です。銀行の資産は全部で1600兆円になり、これが順調に増えて行く事が経済成長の証にもなるという訳です。
ここまで書いて、はたと疑問に突き当たります。先ほど貸し切れない資金は国債などの有価証券に向かう、と書きましたが、そもそも銀行に貸し切れない資金なんてある筈がありません。いや、正確に言うと貸したからこそ資金が出来る(信用創造)のであって、元々潤沢な資金がある訳ではないのです。
さあ、難しくなって来ました。私も自分で書いていながら混乱して来ます。(笑)それ程ややこしいので途中で、めんどくさ!何でもいいや、って事になりかねません。うちのカミさんなどもこういう話になると拒絶反応を示し、結果だけを教えろ、てな事になります。
例えばですが、1億円の資金を持つA銀行があったとしましょう。この資金は日銀の当座預金に預けてあり、必要な時に日銀券と交換して両替に使ったりします。あるとき脱サラしたBさんが融資を依頼しに来ました。有望そうなので銀行は、その人の持つ不動産を担保に2億円の融資を決定したとします。
えっ、変ですね。1億円しかないのに何で?と思われるでしょうが、銀行はそういう事が出来る特権を持っているのです。今の預金準備率なら、その気になれば当座預金残高の100倍くらいまで貸すことができます。ずるいですね。その特権が欲しい。(笑)
さて、いよいよ融資実行の日です。融資の結果、銀行の負債の部に2億円という数字が記入されます。Bさんの通帳には2億円という巨額が印字され、思わずBさんはニンマリとするのです。これから長年に渡る借金返済というイバラの道が待っているというのに。。(笑)
それはさておき、銀行の資産の部には貸出し残高2億円の数字が記入され、さらに当座預金には1億円がそのまま残っているので計3億円の資産という事になりますが、この資産と負債が同時に増える事をバランスシートが膨らむと言います。
もうお気づきでしょうが、銀行がこの増えた2億円の預金残高を使って、お金を貸す事は出来ないのです。なぜならそこには何もないからです。ただ記入された数字だけが空しく存在します。それは返済によって減っていく訳です。
しかしA銀行は、その気にさえなれば、また信用創造という魔法を使って貸し出す事が可能です。つまり、国民が預金したお金=借りたお金、を融資に廻すという事は幻想に過ぎないのです。融資は預金残高に関係なくいくらでも出来ます。ところがそれが出来難い環境であればブレーキがかかる・・それだけです。
(20年振りに復活、昨年発売されたBMW8シリーズ、6シリーズが廃止となり高級GTはこちらへ移行した。1700万円、V8 4.4リッターで530馬力もあるが、電動化と言いながら、この正反対の動きは何だろう?/本文とは関係ありません。)
一方の借りた側からすれば、また違った展開があります。Bさんは営業に必要なので500万円のBMWを購入しました。そうするとBさんの口座から500万円が引かれ、BMW販売店が持つC銀行の口座に振り込まれます。
この場合の資金の流れとしては、A銀行の当座預金口座からC銀行の当座預金口座に500万円が移動する事になるのです。A銀行の資産は2億9500万円に減り、その分C銀行の当座預金残高が増えるという訳です。
次にAさんは本業とは別に財テクも考えます。本業の足しになればという一心ですが、東証へ新規上場したSBとか言う胡散臭い企業の株を1500万円分購入したのです。危険ですねえ。(笑)その場合はA銀行から株を売った企業のD銀行へお金が移動し、通帳も先ほどと同じ動きとなります。
違うのはAさんの手元には1500万円分の株券が残る事ですが、金融資産という観点ではプラスマイナスゼロです。一方売った人には1500万円という現金が新たにやって来ます。Aさんのお金が移動するのですから当然です。
という事は現預金の量(マネーストック)には全く変化はなく、新たに1500万円の株券という金融資産が増えた事になります。これを繰り返す事によってほぼ無限に金融資産を増やしているのが欧米なのです。拝金主義の中国もそうかも知れませんね。
私個人の考えに過ぎませんが、これはやはり邪道で危険だと思うのです。現金が増えずに根拠の薄い紙切れが際限なく増えるというのはどう考えても危ないです。詐欺の温床とさえ言えます。
お金が欲しければ銀行から借りればいいのです。その場合はマネーストックというお金としての分母がデカくなるので健全です。その意味は例えはじけても損害が小さいという事です。マネーストックが一気に消えるという事はあり得ないので急激な不景気にはなりません。
国民が勤勉で、きちんと返済さえしていけばリスクは小さいのです。そういう環境を作るのが政府の仕事であって、それをなまけていながらバカの何とかみたいに異次元金融緩和を続けたり、海外企業のための規制緩和をしたり、あるいは無責任に投資を奨励するのは本末転倒ではないでしょうか。
では政府がやるべき事とは何か? ですが、それは次回にします。。また新年早々大上段に構えてしまいました。大冗談ではありませんよ。(笑)
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コメント
今回の続き興味深いです。邪道も詐欺の温床も本末転倒も同感です。
話は変わりますが、BMW8の写真ブルドッグが吠えているような燃費の悪そうな印象がします。成金や任侠道の方が好みそうな気もしますが、一般人では好みがはっきり割れそうですね。まあ高級車だから一般人が気軽に購入出来る価格では無いが(笑)。
投稿: nao | 2019年1月 8日 (火) 13時56分
naoさん
昔の車は皆品が良かったのですが、洋の東西を問わず年々えぐい顔になっています。他と違う顔にしろという上からの命令を聞いている内におかしな方向に行ってしまったのでしょう。
でもまたその反動が来ると思いますよ。
投稿: 田中 徹 | 2019年1月 8日 (火) 15時48分