ダメなお母さんと賢いお母さんの話(前編)
---移民政策/消費税増税 /カジノ解禁に断固反対! ---
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当分の間人口が減り続ける事が確定している日本の未来ですが、決して我々がイメージしている程暗いものではない事が前々回の記事でお分かりいただけたのではないかと思います。
ネットや書籍で色々調べたり、それらを元に自分の経験を加味して少し深く考えれば誰にでも見えて来るのですが、情報をテレビや新聞に頼っている限り、偏ってしまう事は避けられないと思われます。
そういう意味で、情報にあふれた今日程、逆に情報リテラシーが問われる時代はありません。バランスのとれた判断力、洞察力が試されます。それだけ興味深いし、また難解とも言えるのですが、その情報戦に勝つ事が未来をさらに明るくするでしょう。
(生産年齢人口が人口に占める比率 これを見るとアフリカ以外は皆右肩下がりだ。殆どの国が近い将来日本のような人口構成になる。逆に言えば日本が一番最初にそのグループから抜け出すかも知れない。)
さて、そこで日本の目先の問題ですが、近未来を暗くしかねないものとして消費税の増税があります。これが実施されると間違いなく経済が落ち込みますが、なぜそんなバカな事をするのでしょうか。
また政府が増税による落ち込みをカバーするために軽減税率とか、色々小細工をしようとしていますが、そんな財源があるならなぜ増税するのか不思議です。少なくともその財源がある限り増税を延期すべきは自明です。
いずれにしても妙チキリンなドタバタ劇をやっていると言わざるを得ないのですが、それに付き合わされる国民はたまったものではありません。もっとスッキリさせてくれと言いたいです。
消費増税の目的は財務省によると次のように説明されています。
今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある 中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国 民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。
一見もっともらしいのですが、問題なのは根拠のベースが今の延長線である事です。つまり今後起こってくるであろう新たな経済的発展要素は除外されているのです。人間の歴史は生産性向上の歴史です。それによって旧時代にはお荷物でしかなかった人口をさらに増やして来ました。
今後は逆にそのお荷物になる人口が減って行くのです。一方の生産性はAI やIoT によって劇的に向上されようとしています。これを考えただけで未来は決して暗くない事がイメージ出来るのですが、よほど想像力のない人が政治をやっているようです。それとも日本が経済発展すると何か困る事でもあるのでしょうか。
ここで税の話を簡単におさらいしておきます。その目的ですが、まず社会保障やインフラ整備等の公共サービスが大きいです。これは国民生活を豊かにし、企業の生産性を高めるためにも不可欠と言えます。次に防衛のための軍備を整備する事も重要で、主権国家としての独立性を担保する上で欠かせません。
最後に所得の再分配ですが、累進課税によって持てるものから持たざるものへ富を移動させ格差拡大を防ぐ事は経済発展のためには必須です。日本はそれが機能している一億総中流時代に高度成長を遂げました。
さらに付け加えるなら、経済活動に対するスタビライザーとしての役割もあります。景気が過熱した時には増税によって投資の抑制を図り過度なインフレを防ぐ事は政府にしか出来ません。逆に不景気の時は減税する訳です。
さて、ここまで見て来てどうでしょうか。消費税などの薄く広くという間接税がどうしても必要だと言う要素がどこかにあるかと言えば??特に発見出来ないと言うしかありません。むしろ累進性がない分格差を拡大してしまうのです。
財務省は景気に左右され難い安定財源だと言いますが、そもそも今の様な経済的に高度に発展し、情報が豊富な時代に大きな景気変動を引き起こすという事自体が意味不明と言わざるを得ません。そういう事が起きないようにするのが政治の筈です。
(これを見ると明らかなように、消費税を上げる事で税収全体は減っている。法人税を下げた事も税収減に直結しているが、440兆円の内部留保を思うと複雑だ。企業太って国痩せる。)
逆に消費税が、その景気変動を起こしたという事実さえあるのです。その事実を隠蔽するために資料(数字)を改竄しただのしないだのと騒いでいますが、日本程の国は政府の舵取りさえしっかりしていれば、自然災害や外的要因以外に経済が落ち込む要素はない筈です。
米の干渉によって引き起こされたバブル崩壊は外的要因である事が明らかだし、リーマンショックもそうでした。別に日本国民がドジを踏んだ訳ではありません。しかし、これらにしても政府さえ早期に適切な処置をしていれば大きな問題にはならなかったのです。
政府の適切な処置??ここがピンと来ない方に追加で説明します。家庭で考えた場合、お父さんの勤めている会社が不景気になって給料が減ったとしましょう。その場合お母さんはどうしますか?離婚すると言って大騒ぎし、子供の小遣いを取り上げたり、挙げ句の果てはお隣へ行ってお金を貸してくれなどと言うでしょうか。
そういう例もなくはないと思いますが、(笑)賢明なお母さんならへそくりを出して生活レベルを下げないように工夫をする筈です。子供達の授業料も塾に支払う費用も定期預金を崩したり保険を解約したりして何とかするのです。
その内景気が戻って元の状態に戻れば、結局何もなかったのと同じになります。もうお分かりだと思いますが、この賢明なお母さんがいる家庭が日本です・・の筈です。(笑)国として貯金がたんまりあるではありませんか。
大騒ぎする国は・・え〜と、近くにある某国ですが、しょっちゅうお金が足りなくなって人の国に無心に来ます。にも拘らず態度がデカいのです。これでは嫌われても仕方がありません。
横道にそれましたが、これでお分かりのように政府(お母さん)が優秀ならリーマンだろうがピーマンだろうがへっちゃらなのです。
ところで、もうお忘れになった方も多いとは思いますが、アベノミクスは三本の矢で構成されていました。異次元の金融緩和、機動的財政出動、成長戦略です。既に死語になった言葉さえあります。(笑)
この内金融緩和だけはなぜか盛大にやりました。その結果は先頃発表されたように500兆円ものマネタリーベース(当座預金残高+日銀券)となっています。他の先進国と比較しても突出して多い額です。その結果は株高効果はあったものの、たった2%のインフレ目標さえ達成されませんでした。
三番目の成長戦略も規制緩和他、色々やったようですが、これは仇になったものが多く将来に禍根を残しかねないものばかりです。まず外国人労働者の受け入れがその最たるもので折角の生産性向上の機会を潰しかねません。
その他、観光立国や水道法改正等で規制緩和が進み国の形を変えています。これらが意味するのは政府による経済のコントロール範囲を自ら狭めている事に他ならないのです。つまりグローバル化によって、一国内での経済スタビライザー効果を自ら弱めようとしているのです。由々しき事態と言うしかありません。
ところで二番目の財政出動はどうなったのかと言えば、それが一番の問題なのです。特に何かをしたという形跡はありません。そこで話は消費税に戻りますが、なぜ消費税が拙いのかと言えば、それによって政府の支出が抑えられるからです。
税は政府がネコババするために取るのではありません。(笑)国家予算として大半が国民に還元されます。政府が国民の代わりにに広く使うのですから消費自体は減るどころか、むしろ増えるのです。じゃあ消費税も結局は戻って来るのであれば問題ないじゃない?と思われるかも知れませんが、それは違います。
なぜか消費税を取られた分国民の消費が落ち込みます。妙な話ですが現実に家庭でもそういう現象はあるのではないでしょうか。つまり分かり易いのです。手取りの中からの支出ですから消費性向が変わらない限り、増税分確実に得られる付加価値は減ります。
ところがそれだけでなく他に減るものもあるのです。なんだと思われますか?それは・・補正も含めた国の年間の予算です。つまり政府の支出を減らす最大要因が消費税という訳です。非常に難解な話ですが、ここからが肝になります。
長くなりましたので後編に続きます。
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コメント
よろしければご教示願います。なぜ?の連発になりますが笑
(私が現場で働く財務職員だったら、なぜ?なぜ?と思う疑問です)
「消費増税により不景気、税収減=自身の給料減」が分かっていながらなぜ財務省は推し進めるのでしょうか?
財務省の消費増税推進について解せないのです。
なぜ「財務省が消費増税に積極的なのか」
増税することにより景気が悪化するであろう事は誰しもが理解する。賢い彼らこそ解ると思うのです。
税収減により「公務員、つまり自身の給料減(自爆)」は避けられません。増税による景気減速は避けられず自分の首(給料減)を絞めるようなことをなぜしたがるのでしょうか?
息子も公務員ですので、非常に気になります。
しったかぶりですが、
いわゆる、グローバル企業=輸出企業で形成された経団連が増税に賛成する事はなるほどと、思う、(戻し税)潤うでしょうが、、、
*財務省がなぜ「消費増税により不景気、税収減=自身の給料減(自爆)」、生活がかかっていながら推し進めるのか?
ご教示願います。
投稿: ブログファン | 2019年2月 7日 (木) 13時42分
政府の支出を減らす最大要因が消費税??? 続きを楽しみにしています。情報は田中様のようにこの人は信用できると私が判断した人から入手することにしています。もちろん自分でも吟味しますが、難しいので結局のところ人を観て判断しています。
投稿: 八丈島 | 2019年2月 7日 (木) 18時12分
ブログファンさん、いつも有り難うございます。
残念ながら財務省がなぜ消費税に固執するのかは分かりません。諸説ありますが、どれも決め手に欠けます。想像するに、外圧の一種ではないかと思うのですが、本当のところは分かりません。
八丈島さん、買い被り過ぎです。私は素人ですから、一つの常識的参考意見と思って読んで頂ければ幸いです。
ともあれ、物書きは商売ではないので、分からない事は分からないと素直に言います。
投稿: 田中 徹 | 2019年2月 7日 (木) 22時36分
ありがとうございます。
投稿: ブログファン | 2019年2月 8日 (金) 20時19分