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2019年2月 5日 (火)

日本をダメにする連中

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---移民政策/消費税増税 /カジノ解禁に断固反対! ---

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 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2018年10~12月期の運用損失が14兆8039億円だったと発表した。市場運用を始めた01年度以降、四半期ベースでは過去最大となった。

GPIFは14年の運用改革で相場変動の影響をより受けやすくなった。環境や社会への貢献を重視するESG投資などの取り組みを強めて安定的な運用につなげる。(日経新聞ニュース2月1日)

あの、これ、超絶アホなニュースと言うか(笑)悲し過ぎて笑えないニュースなのですが、国民が払って政府が溜め込んでいる国民の老後資金を勝手に運用して15兆円近くもなくしてしまったという事であれば、責任者は昔なら切腹ものでしょう。

どうせ誰も責任は取らないと思いますが、それにしても酷いものです。私は下手な運用ならすべきでないというスタンスですが、なぜ投資のど素人が海千山千の世界で勝てると思うのでしょうか。

そもそも勝ったとして、それは誰の財布からいただくのかと言えば、明らかに日本国民の財布からなのです。基本的に投資の世界では、バブルとしての金融資産は増やせてもマネーストックを増やす事は出来ません。買っても負けても精算時にはマネーストックの中を右から左へお金が移動するだけです。

もちろんこの話は海外の投資家は決して損をしないという前提に立ちますが、その事実は日銀のHPで確認出来ます。毎年数兆円〜十数兆円単位で対外キャピタルロスが発生しているのです。つまり貿易や直接投資等で稼いだ日本人のお金(特に外貨)が株などで負けて米国他へ還流しています。

Portfolio_fig_01      (GPIFの基本ポートフォリオ)

それが意味するのは、GPIFなどが手持ち資金を日本株で運用する事は他の日本人投資家と、マイナスの押しつけ合いをやっている事になるのです。どちらかが儲かれば必ず一方が海外へのマイナス分も含め大きく損をする事になります。

つまり日本国民から集めた資金を運用して、さらに国民から取るか、あるいは還元するか、それを海外マイナス分という巨額の手数料を払いながらやっているのと同じ事になるのです。

一般論ですが、もし運用に意味があるとしても、それは高度成長が続く海外への投資に限ります。低成長の国内から二重取りする意味はありません。尤も、日本の投資先でもある海外から上前をはねるというのも、それはそれでどうかと思います。(笑)

基本的に人のお金で博打を打つというのは邪道です。さらに日本には金融で稼ごうなどと、そういう小汚い国にはなってもらいたくありません。誰かさんではありませんが、お金は額に汗して稼ぐものです。

政府は21日、米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)の新協定「TPP11」の発効により農家の売り上げが最大1500億円減るとの試 算を発表した。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)では同1100億円減少する。試算は楽観的な分析が前提になっており、実際の影響はより大 きくなりそうだ。(中略)

一方、政府はTPP11と日欧EPAが日本の国内総生産(GDP)をそれぞれ約7.8兆円、5.2兆円押し上げると試算した。関税削減のほか税関手続きが素早くなることで輸出が拡大したり、生産性の向上で賃上げが進み、消費を後押ししたりすると見込んだ。


2/1日欧EPAが発効し、世界貿易額の4割を占める世界最大級の自由貿易圏が誕生したと2月1日の日経新聞ニュースが伝えました。その中で不思議な数字が羅列されています。GDPをTPPで7.8兆円、日欧EPAでは5.2兆円押し上げると言うのです。絶句です。(笑)意味が分かりません。

そんな美味い話があるでしょうか。本当はどうなのかをチェックする必要があります。まず基本的な事ですが、貿易でGDPが増えるというのは収支が黒字の場合だけです。日本が5兆円も黒字になるならEUは5兆円の赤字なのですが、それでEUが納得するとはとても思えません。(笑)

例えば、これまでの輸出入の全品目に加え、お互いの内需を毀損しない全く初めての商品が各々にあって、それを互いの国内で販売する事による内需拡大効果を言っているのであれば分からないでもありませんが、堂々と農家の売り上げが減ると言っているのですから、そういう訳でもなさそうです。(笑)

訳が分かりません。政府関係者でもマスコミでもいいです。どなたか明快な説明をお願い致します。

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(何が大きいって、自動車関連が巨額なのですが、自動車部品の関税即時撤廃でメリットが大きいのは電動化部品のサプライチェーンを域内に持たないEU側である事は明らか。)

まあ、まやかしでしょうね。(笑)グローバリズムをベースにした自由貿易信仰があって、何が何でも経済に貢献する筈だと信じ込んでいる人が、取りあえず景気のいい数字を並べておこうというのが今回の発表だと思われます。

しかしそれだけだと嘘になるので、過小に設定したマイナス分をもっともらしく付け加えるという、姑息な事を考えたというのが真相ではないでしょうか。大本営発表と同じで、こういう連中が国をダメにして行きます。

そもそも、先ほどの農家の例にもあるように、国内でのマイナスは競争力のない分野に集中します。競争力がないという意味は、決して商品の品質が劣るという事ではなく、単に価格が相手より高いだけです。今の日本式だとどうしてもそうなります。

ではなぜ価格が高いのかと言えば、過剰品質もあるかもしれませんが、為替レートによるところが大きいのです。その原因を作ったのが国内の生産性の高い製造業です。貿易収支の黒字化=円高の構図で国内にアンバランスを引き起こしました。その結果、自らが上げた為替レートによる損失を自由貿易によって農業などから補填している事になるのです。

EPAで黒字が出るなら、過剰に補填されている事にさえなりかねません。(笑)それが意味するのは生産性の高い製造業優遇、生産性の低い農業冷遇です。簡単に言うとそういう事ではないでしょうか。自由貿易でウィンウィンの関係というのは、殆どのケースで嘘です。

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コメント

あの、これ、超絶アホなニュースと言うか(笑)悲し過ぎて笑えないニュースなのですが、国民が払って政府が溜め込んでいる国民の老後資金を勝手に運用して15兆円近くもなくしてしまったという事であれば、責任者は昔なら切腹ものでしょう。

・・・ゆでガエルの親分はやっぱり日本病ドップリのお役人衆とか政治家なのでしょうね。
・・・今からでも遅くありません、責任者は名誉の切腹をしてください。
・・・この件の報道・記事内容でその新聞社・週刊誌・TV局等の存在価値・正体が明白になるでしょう。

投稿: AZ生 | 2019年2月 5日 (火) 17時30分

貿易黒字しかGDPに貢献しないというあたりをもう少し説明してください。お願いします。

投稿: 八丈島 | 2019年2月 6日 (水) 18時22分

八丈島さん

これは一言で言えば簡単ですが、詳しく説明をするとここでは書ききれません。そういう訳なので、近い内にブログ記事で扱う事にします。

少々お待ちいただけると幸いです。宜しくお願いします。

投稿: 田中 徹 | 2019年2月 6日 (水) 22時56分

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