財務省はなぜ消費税を上げたいのだろうか。
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読者の方からの質問で、量的緩和でなぜ円安になるのかというのがありました。その答えは簡単に言うと、銀行が扱える円が増える=交換すべき外貨が相対的に少なくなるという事です。供給量が多い方が安くなるのは、どの世界も同じです。野菜だってそうです。(笑)
その方は、基本的に銀行は交換のための円に困る事はないと思われていたようですが、そうとは限りません。今は円(当座預金残高)が潤沢にあるので困る事は考え難いのですが、つい数年前、つまりアベノミクス前までは大して多くなかったのです。
当時どういう意味があるのかよく分からない日銀ルールというのがありまして、当座預金残高は日銀券発行残高を上回ってはいけないという事になっていたのです。その変なルールをぶち壊したのがアベノミクスの異次元緩和ですが、文字通り異次元なのです。
当時の日銀券発行残高は80兆円くらいでしたから当座預金残高もそれくらいでした。ところがマネーストックは当時でもM3で1100兆円もあったのです。この内日銀券が80兆円とするなら1000兆円以上は印字された数字(預金残高)に過ぎない事になります。
(このイラストは、銀行にお金を預けるのは危ないという意味で作られたものですが、じゃあどこに預けるのかと言いたいです。1000兆円以上の現金をタンスにしまっておけとでも?そもそもそんな現金はどこにもないし。。)
80兆円(当座預金残高)対1000兆円なら、圧倒的に不確かなお金の方が多い訳です。銀行はお金を、我々が思う程持っている訳ではないのです。この状態で外貨との交換を大量に求められると必然円の調達に苦労する事になります。場合によっては円をどこかから買わなければいけない=円高です。
銀行が保有する金融資産の確かなものは当座預金残高と手持ち現金(日銀券等)で、次がやや不確かな証券類です。プラス貸出し残高、今なら800兆円が資産の部に加わって巨額のバランスシートを構成します。これを見れば銀行はお金持ちに見えるという訳です。
しかし、いざという時に使えるお金はアベノミクス前の2012年当時は日本の銀行全体でも80兆円ちょっとしかなかったのです。それでも他国との比較で特に少ない方ではありません。どこの国もそんなものです。
という事は、預金者が皆現金にしてくれと言って取り付け騒ぎが起きるとどうしようもありません。そんな事は最初から想定していないのです。(笑)今なら400兆円の当座預金残高がありますから、その気にさえなれば、そこまでは交換可能です。
取り付け騒ぎに備えるため、という訳ではありませんが、安倍さんはアベノミクスで突然異次元緩和を始めました。その主目的は銀行から民間への貸出し残高を増やすためです。なぜなら貸出し残高=マネーストックで、マネーストックが増えるとインフレになり易いからです。当時インフレ率2%を目標に掲げていました。
ところが大企業は既に金余りで、さらに担保になる地価が下がり切った状態でしたから資金需要がある中小企業も借りられません。すなわち、あれ程の金融緩和でも貸出し残高は微増でしかなかったのです。やたら厳しい金融検査マニュアルも借り入れには障害になります。
寄ってたかって貸出しをするなと言っているようなものです。これでは経済成長は望めません。どこかの間抜けな人が、この上っ面だけを見て「日本はもう経済成長しない」と言い出す始末です。
(失われた20年で貸出し残高は減ったが、その分を補ったのが政府の国債発行だった。マネーストックの伸びを政府が支えたというのが如実に分かるグラフ。これが理解出来ないエコノミストには頭が痛い。)
国の借金が~も相変わらずですが、そういう状態で「政府が負債を増やす=マネーストックが増える」をしなければ最悪の事態は避けられなかったのです。しかしその結果としての微かな成長さえ気に入らない人がいると見えて消費税を上げようとします。
その目的は政府債務を増やさせないためです。政府債務を思い切り増やして2%以上も経済成長すると、これまでの嘘がバレます。財務省がいかに日本経済の足を引っ張っているかがお分かりでしょう。
政府債務(国債発行残高)は日銀が買う事によって事実上消滅します。こういう事実がバレると困るのは実は大金持ちです。大金持ちが権力を握り続けるためには一般市民は貧乏でなければなりません。その大金持ちのポチである財務省は忠実に仕事をしているだけです。
政府も逆らえない巨大な権力がこの国を支配している・・そう考えると全ての辻褄が合って来ます。
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コメント
詳しい解説ありがとうございます。
これは私の理解ですが、日銀が金融機関から国債を買う→そのお金は日銀当座預金に入る、これではマネーストックが増えなないので新たな豚積み資金をマイナス金利にする。→銀行の貸し出しが増える。しかし今回のブログあるような理由で貸し出しは増えない。
結局アベノミクスは異次元の金融緩和の円安と海外の景気が好調なことで外需が伸びただけで、内需は伸びていない。消費税の引き上げや政府の借金の縮小で、外需の縮小が予想されるこれからは景気が最悪になるのではないでしょうか。
安倍政権のような力のある政権ですら、2回の増税を延期するのが精いっぱいで財務省とそのバックには勝てないということですね。田中様は頭の悪いエコノミストにあきれておられましたが、難しいかもしれないけどこの当たり前の経済の常識を広めなければなりませんね。一人でも多くの普通の日本人に。
投稿: 八丈島 | 2019年7月14日 (日) 20時08分