EV vs HV (後編)
---移民政策/消費税増税/カジノ解禁に断固反対!---
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前回からの続きです。クリーンディーゼル車に比べればEVは圧倒的に構造が簡単です。これなら何とかなるかもしれないと有象無象が飛びついても無理はありません。ところがそこには大きな落とし穴が待っていたという訳です。
まずEVは価格の点やメンテの点でも途上国向けでないのは明らかです。中国だって補助金とナンバープレートの優先的配布で急増させてきましたが、今後はそうはいきません。補助金は既に打ち切りでEV熱も冷めています。
先進国、特に欧米も政府の過保護とも言える後押しがあって何とかしてきましたが、何百万台もとなれば話は別です。他の産業とのバランスもあって無制限に支援は出来ません。
そもそも現システムでのEVなんてとても持続可能とは言えないビジネスモデルだったのです。それを知っていた日本企業のお尻が重かったのは当然と言えます。
欧州勢はディーゼルの嘘がバレて慌ててEVに飛びつきましたが、EUにはサプライチェーンさえ整備されていないのです。裾野を育てるのは生易しい話ではありません。そのため取りあえず中国や韓国を当てにしたと言う訳です。
しかしそんな事でブランド価値が維持出来ると本気で考えているのでしょうか。安全策として日本にもアプローチし、まんまと日欧EPAを締結しましたが、部品に関しては即刻関税ゼロというところに焦りが伺えます。
完成車は7年後にならないとゼロにはならないにも関わらずです。そういう付け焼き刃的その場凌ぎではいずれ立ち行かなくなるのは自明です。欧州は目論見通りにEVで食っていく事など出来やしないのです。そこは断言出来ます。
(ホンダのEV こんな冗談としか思えない車が300万円以上だなんて、しかも200キロも走れない訳です。)
とは言ってもコミューターなどの小さな物や地域限定、あるいは公共トランスポーターとしては生き残るでしょう。従って一般的乗用車はガソリンエンジン車とそれをベースにしたハイブリッド車がメインという事になります。
法規がどうであろうが、それしかないのですからその方向に動くしかありません。でなければ産業自体が崩壊してしまいます。途上国に関しては熱効率がさらに上がった次世代ガソリンエンジン車&マイルドHVがメインになるのではないでしょうか。
その結果、EVの妥当な棲息空間は世界で10%にも届かない事になります。EVとガソリン車の欠点を併せ持つ、プラグインHVなどという中途半端な商品も消える運命でしかありません。
それをやるくらいならEVベースでEVの欠点を補うレンジエクステンダーで十分です。よほど分かり易いです。BMWのi3が良い例と言えるでしょう。
次に石油の価格ですが、今後も上がったり下がったりを繰り返すのは生産国の都合もあって致し方ありません。それでも莫大な埋蔵量があるのは既定の事実ですから基本的には下がっていくものと思われます。日本の場合はそれよりもガソリン税が問題です。あまりに高過ぎます。
軽油程度にまで下げたとしても咎められる理由はありません。さらにその上に消費税がかかるという二重課税という国家的インチキもやめるべきです。先進国として恥です。
そういう点も含め税制の抜本的見直しは必須と言えます。もちろん既得利権との戦いになりますが、国家財政の嘘も含め、もうそろそろ何とかしない事にはどうにもなりません。
次にトヨタですが、中国天津への投資を2月29日に決めたようです。えっ(笑)頭おかしいです。新型コロナ騒動の最中、経営者はとてもそんなモチベーションにはならないと思うのですが、もし本当に投資するようなら厳しい未来しかありません。本当にコモ被りになってしまいます。(笑)
私の考えですが、前回も言いましたように、このコロナ騒ぎが首尾よく収束したとしても今後はグローバル化の流れはかなり抑制され内需中心の考え方が主流になっていくと思われます。それから取り残されるメーカーは、それはそれで自己責任でやって下さいと言うしかありません。
今回の新型コロナ騒動で間違いなく世界は大きく変わります。一度こういうリスクを知ったなら、怖くて海外に投資なんて出来ません。その代わり国内に投資すればいいのです。それが生産性の向上に繫がっていきます。
人が足りなくても、海外からはおいそれとは呼べない状況ですから、そうならざるを得ません。日本にとって正に良い事尽くめなのですが、そこに気がついている経営者は今の段階では殆どいないのではないでしょうか。これに関しては国が方向性を示すべきは明らかです。
最後に温暖化と温室効果ガスと言われるC02の問題ですが、これは高々100年くらいのデータであれこれ言えるようなものとも思えず、中期的にみれば寒冷化だってあり得ると思っています。実際長期的には氷河期に向かっている訳ですから、温暖化よりそちらを心配すべきです。
CO2温暖化犯人説にも否定的な専門家の見解が多くあり、確定しているとは言えません。これからの時代、そういういかがわしい説に惑わされないようにする事が肝要です。今後エネルギーに対する常識は大きく変わり得ます。
(日本の火力発電によるSOxとNOx の排出量は世界最低レベル)
日本の場合は化石燃料で発電しても、CO2はともかく、排出するPM、SOxやNOx はかなり抑える事が可能です。石炭でさえ世界トップレベルにあって2030エネルギーミックス計画が達成出来れば、当面それで十分だと思われます。
もちろんパリ協定の、根拠の薄いCO2削減目標は達成出来ませんが、万が一それで地球がどうかなったとしても日本の責任ではありません。米中や途上国の問題であり、日本はただ範を垂れるだけです。
ちょっと竜頭蛇尾かも知れませんが、EV とHV どちらが近い将来の主役かご理解いただけたと思います。万が一にもEV全盛となったなら、そこには大きな政治の力が働いたとしか思えません。
誤解なきよう言っておかなければいけませんが、私はEVを毛嫌いしている訳でもポジショントークをしている訳でもありません。然るべき時が来ればEV全盛は当然あり得ると思っています。
その第一条件としては、電車のように車外からの充電が可能になる事です。非接触で道路から電力の供給を受けるならEVは華麗に蘇ります。重たい電池を積まない訳ですからポテンシャルと魅力が倍増するのは明らかです。
何よりコストと走行距離の問題が解決するのですから鬼に金棒です。そのためには全国津々浦々にインフラ整備が必要ですが、巨額公共投資をすれば十分可能と言えるでしょう。
少しだけ電池を積んでラストワンマイルは自力でと言うなら、もっと実現性は高くなります。それはそれで楽しい未来ではないでしょうか。
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コメント
田中様、早速ですが質問です。「EVとガソリン車の欠点を併せ持つ、プラグインHV」とはどういうことでしょうか。私のような素人にはプラグインHVは、理想の車のように感じるのですが。
投稿: 八丈島 | 2020年3月27日 (金) 18時39分
八丈島さん
まずコストが高いでしょう。簡単に400万円以上になったりします。次に面倒な作業があります。充電しなければPHVのメリットはありません。
その次は重量です。追加電池分他で数十キロ増えます。これは元々重いHVとしては致命的です。
一方ガソリンエンジンは排気ガスの点でEVに劣ります。さらにEVとして使う時間が多い程内燃機関の調子を維持するのは困難です。
何より重いでしょう。重いもの同士の相性はどう考えてもいい訳がありません。
ストロングHVならその点、お互いの欠点を補い合う訳です。今のレベルはほぼ完璧なのに、わざわざコストをかけてまでバランスを崩す意味はありません。
メーカーも分かって作っていますが、歪な排ガス規制のメリットがなくなれば作らないと思いますよ。
投稿: 田中 徹 | 2020年3月27日 (金) 19時04分
田中さま
2019年トヨタの国別販売台数(日米中)売り上げは、中国が日本を抜いていました(参考;読売新聞デジタル)。トヨタは母国よりも車が売れる中国で工場を増やすのが目的でしょうか。
ここで私は色々考えさせられました。お金になれば何でも良いのか、誰にでも売るのかって思います。今回のコロナの影響で経営が厳しい状況にある企業が沢山あるのは承知しています。某旅館のお客は9割が中国人観光客で経営が成り立っていたので、その旅館は閉館することになったそうです。私はこれを聞いた時に失礼承知で申し上げますが、自業自得だと思いました。チャイナ・マネーを当てにして事業するリスクを考えてなかった方が悪いと思います。もっと言わせてもらえば、中国人のビザ緩和が始まり、それに便乗してお金儲けをしていた人達(特に観光業)が今痛手を食らっているだけであり、コストはかかっても、国内で日本人と地道に確実な道をたどれば良いと思います。
コロナウイルスはビジネスプランを考え直す良い機会だと思います。企業の体制、どれだけ中国に依存していたかをもう一度見直すべきだと思います。だいぶ前に毒入り冷凍餃子事件があったの忘れてしまったのでしょうか。あの事件があってから、中国産を嫌ったはずですが、もう元に戻ってしまったのでしょうか。このコロナ騒動がある前の話ですが、薬局で日本製のマスクは中国製のマスクの3倍の値段でした。正直高いなと感じましたが私は日本製を購入しました。
投稿: 女性読者 | 2020年3月29日 (日) 13時09分
女性読者さん
本文で取り上げますので少しお待ち下さい。
投稿: 田中 徹 | 2020年3月31日 (火) 12時40分