BEV(バッテリー式EV)に未来はあるのだろうか?
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先日ある親しい友人がゴルフの時に、新しいプジョー208のEVに興味があるという話をしていました。その時は詳しい話が出来なかったので、ブログ記事にて私の個人的見解を述べます。
(プジョーe208 オシャレでスポーティなクルマだが、EVとしての性能は未知数)
1)リセールバリュー
日産リーフなどは昔よりかなり良くなったようですが、将来的にはあまり期待は出来ません。特に二次電池の技術革新(全固体電池など)次第では暴落する危険性があります。
パリ協定離脱のトランプ大統領のちゃぶ台返しもバカに出来ません。CO2地球温暖化説自体がひっくり返る可能性があるのです。そうなるとあっという間にEVは消えます。(笑)
2)バッテリー問題
懸念されているバッテリーの寿命自体は使い方にもよりますが、問題のないレベルになっているようです。但し、交換の場合は208でも100万円前後はかかると思われます。
このバッテリーの価格は下がる要素がありません。そもそも量産に向かない構造があり、リチウムなど原料のリサイクルも確立されていないのです。埋蔵量にも限界があるし、特にコバルトは今でも供給不足です。代替原料が見つかるまではコストは上がり続けるでしょう。
3)航続距離のウソ
208は満充電で403キロとなっていますが、これは使い方次第で全く変わります。ルノーの場合(中身は日産と同じ)は暖房を使う冬は半分だと言っています。
4)急速充電の罠
遠出の場合、どこかで充電する必要が生じますが、急速充電では80%までしか充電出来ません。それ以上は急速ではなくなります。なぜならバッテリーが劣化するからです。
同じ理由で30%程度は残す必要があります。という事は外で充電する場合は能力の50%しか使えないのです。冬には実質25%になります。
それはプジョー208で100キロ程度を意味するのです。
5)環境汚染問題
EVはゼロエミッションと言われますが、電源次第ではHVより劣ります。例えば排ガス対策のための浄化装置を故意に外すと言われている石炭発電がメインの中国では、EV一台とディーゼルバス一台が同等の大気汚染を引き起こすと言われています。
日本で東電などの電力を使って充電する場合、CO2に関してはやや優位と言えるでしょう。しかしながらNox Sox に関しては下手をすればガソリン車以下かもしれません。もちろん街中を汚さないという点ではアドバンテージがあります。
6)公害輸出
リチウム産出国はオーストラリア以外はボリビアなど南米に集中し、途上国が多いので環境より経済を優先します。採掘による土壌汚染は深刻だと言われています。その他倫理的問題も色々あるようです。
さらに先進国の横暴か、不利な条件で契約するので、現地に落ちる筈の利益の大半は持っていかれると言うのです。これでは途上国はいつまで経っても豊かになれません。
7)移動体としての基本概念から逸脱する
EVのバッテリーはパワーの源泉であり、内燃機関車の燃料タンクに相当します。従ってBEVの場合、長い距離を速く走るためには多く積まなければなりません。
それは車両重量増とトレードオフの関係にあるので、移動体として矛盾が生じます。自動車の場合、動的性能をアップするためには基本的に軽量化が至上命題です。
そのために設計者は1g単位で日夜戦っているのです。それがいきなり200キロ単位でドーンと増えるのではやってられません。(笑)さらにガソリンタンクと違って電池残量が減っても軽くなりません。
(テスラモデル3、こんな味気ないクルマに500万円も払うなんて信じられない/笑)
この悪い連鎖を逆手にとったのがテスラです。桁違いのバッテリーを積んで、やたら速いクルマを作っていますが、環境に優しい筈のエコカーとしては疑問符が付きます。
LCA(ライフサイクルアセスメント)で見れば大容量バッテリーを積むコンセプトは明らかに不利だと言わざるを得ません。それを誤摩化すように、移動体とは直接関係のない付加価値をつけまくります。
どうせ高価になるなら思い切り高価にして、何でも付いている高級車にしてしまえ、という乱暴なやり方はいかにも南ア出身の白人、イーロン・マスク氏らしいのですが、短絡的であまり知的な感じはしません。
さらに利益がなかなか上がって来ないので、薄利多売をこの高価格車でやろうとしています。一体500万円以上のクルマを何台売るつもりなのか、気は確かかと言いたくなります。(笑)
しかも、それでいてフルスロットルでは1時間も走れないのです。EVは空気抵抗にはからっきし弱いのと、電池が連続高出力放電に耐えられないので高速走行は苦手なのです。
もちろん時速100キロ程度なら問題ありませんが、それでもガソリン車よりは劣ります。ポルシェタイカンでさえ同じ理屈でアウトバーン向きではありません。分かり難い事この上ないです。
(ポルシェよ、お前もか。。アウトバーンで電欠なんてシャレにならない。頭は大丈夫か?)
ガソリン車の場合はエンジンのダウンサイジング化と燃費向上で、むしろ軽くする事が可能です。さらに理論上はフルスロットルで燃料がある限り走れます。昔アウトバーンで時速200キロ巡航をした時に往復400キロを無給油で走りました。
8)身近な話
私の親戚が数年前にリーフを買いましたが、ゴルフに行く途中電欠を起こしました。それ以来怖くて暖房が使えないと言っています。(笑)家族からはブーイングの嵐です。
余程頭に来たのか、補助金の縛りがあるにも拘らず、途中で売ってアコードハイブリッドに替えました。こちらは一回の給油で1000キロ以上走ります。
(う〜〜ん。中身はいいんだけど、どうもあか抜けない。まさかわざと?)
このクルマは80キロ以下を低速に強いモーターで、それ以上は効率のいい専用のアトキンソンサイクルエンジン直結で走るので大変合理的です。それでいて車両重量は1.6t 以下で、ジャーマンスリーのDセグメント・ガソリン車よりかなり軽いのです。
いかがでしょうか。私は将来的にはEVの時代はあり得ると思っていますが、余程の技術革新が必要です。例えば走りながら道路からの非接触充電とか・・BEVは、残念ながら発展途上であり、商品として中途半端だと言うしかありません。
例えエネルギー密度がリチウムイオン電池比で二倍の全固体電池が実現しても不十分だと思われます。それよりは現実的で、ほぼ無限のポテンシャルがあるHVがお薦めです。
欧州は全力を挙げてEV化への道を突っ走っていますが、また似非クリーンディーゼルと同じ轍を踏まないか心配です。日本のジャーナリストも彼らのプロパガンダに乗せられて日本叩きに余念がありません。日本にだけ全ての技術があるにも関わらずです。
なぜかコロナ騒ぎと似ています。冷静に現実を見つめれば、何が今出来る最善の策かが見えて来る筈です。それは自動車メーカーだけの話ではなく、エネルギートータルの問題であるし、人類の生き方の問題でもあります。
パリ協定を盲目的に受け入れる前に、日本人、いや地球人として考えなければならない事がある筈ですが、あくまでも現状の延長としか捉えられない想像力では貧困化あるのみです。
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コメント
田中さま
教えて下さい。下記昨日のニュースです。環境にうるさいカリフォルニア州知事が変なこと言い出してます。この様なリベラルを通り越して、左翼になってしまっている米国。こんな事が各地で広がったら自動車産業どうなってしまうのでしょうか?米国で売れなくなるので日本に戻ってくるのでしょうか?もしくは市場を中国に移してしまうのではないでしょうか?(それも見据えてトヨタは中国へ?)
米カリフォルニア州のニューサム知事は23日、ガソリンエンジンを動力とする乗用車とトラックの州内での新車販売を2035年から禁止する方針を示した。電気自動車(EV)への移行を促進し、温室効果ガス排出量の削減を図ることが狙い。記者会見で、カリフォルニア州はガソリン駆動の新車販売を35年までに段階的に廃止する「確固たる目標」にコミットすると指摘。他の州にも同様の措置の導入を促すとした。ニューサム知事の打ち出した目標に基づき、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は州内で販売される新たな乗用車とトラックの全車両について、35年までに排出ガスがゼロであることを義務付ける規則を作成する予定。
投稿: 女性読者 | 2020年9月24日 (木) 21時04分
女性読者さん
左翼が騒いでいるだけです。実際には出来っこありません。出来るとすれば、それは日本企業なので、もっと問題ありません。(笑)
そもそも、そんな先の事を今心配する意味はありません。あの国はコロコロ変わります。
私はトランプ氏支持だし、きっと勝ちますよ。万が一負けても脱中国の流れは、大きくは変わりません。
投稿: 田中 徹 | 2020年9月24日 (木) 22時45分
中国の世界におけるIT覇権の状況をかなりまともに伝えているユーチューブチャンネルがあり、そこでEVの中国支配を語っていましたので、この田中さんのブログを貼っておきました。ここではその他のICチップの解説などはよく調べて解説していいます。まともなだけにEVに関しては間違った情報を出してほしくないですね。
投稿: 八丈島 | 2020年9月28日 (月) 20時12分
八丈島さん
有り難うございます。EVの事は素人には分かり難いかも知れないですね。
常識的に考えて、電気爆食いでデカく、何でもかんでも付いたラグジュアリーEV がエコな訳がありません。
テスラが悪い例ですが、後追いの中国もコミューターに特化すればEV覇権はあり得ます。
いずれにしても数は大して出ませんが。(笑)
投稿: 田中 徹 | 2020年9月29日 (火) 10時16分